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2021年07月26日 06:00

加速するUFOに関する調査や分析:問われる日本的対応(後) 未来トレンド分析シリーズ 

国際未来科学研究所代表 浜田 和幸

さまざまな見解が交錯

 福島県の千貫森(せんがんもり)山は1970年代からUFOの目撃情報が多く、「UFOの里」と呼ばれるほどだった。そのため、92年には地域興しの一環として「UFOふれあい館」が誕生したのである。円錐形をした千貫森山はUFOやUFOの基地を連想させるため、千貫森公園内にはいたるところに「UFOの道」やさまざまな「宇宙人の石像」が配置され、年間、3万人もの観光客が「パワースポット」を訪れている。「UFO物産館」にはさまざまな土産物が揃っており、観光客には人気を博しているようだ。

 もし、三島由紀夫が生きていれば、「俺の出番だ」と小躍りしたに違いないだろう。なぜなら、生前、三島は熱海の温泉宿に投宿しては毎晩、夜空を見上げ、UFOを探していたからだ。彼の小説『美しい星』は宇宙から飛来したエイリアン一家を独特の感性で描いている。多くの読者がその舞台となった能登半島を訪ね、UFOとの遭遇を期待したものだった。残念ながら、「日本空飛ぶ円盤研究会」に入会した三島本人も含め、UFOらしき物体は目撃したものの、日本人とエイリアンとの直接の出会いは実現しないまま、今日に至っている。

UFO イメージ とはいえ、世界各国から届くUFOの目撃情報や、エイリアンに拉致されたが無事帰還できたというアブダクション体験の報告事例は後を絶たない。5月末には、ハーバード大学で天体物理学を専門とするエイブラハム・ローブ教授が「地球外生命体との平和条約を結ばなければ、人類は6,600万年前に絶滅した恐竜と同じ運命をたどる」と緊急声明を発表。

 同博士はハーバード大学の天文学部長を長年務め、この分野における世界的権威であるため、世界に衝撃が走った。最近、『地球外生命体:宇宙には知的生命体が存在する』を出版したばかりのローブ教授のもとにはメディアが殺到している。

 実は、米航空宇宙局(NASA)でも科学的見地からのUFO研究に本腰を入れて取り組み始めたという。そうした影響もあってか、アメリカでも中国でもUFOに関する政府の機密情報が部分的ながら、公開されるようになってきた。とはいえ、6月25日にアメリカ議会で行われた国防総省や諜報機関によるUFOに関する最新情報の報告者は、先に述べたように期待外れと言わざるを得ないものだった。

 アメリカ軍は「unidentified aerial phenomena(UAP:未確認飛行現象)」、中国の人民解放軍は「unidentified air conditions(UAC:未確認大気状態)」と、ともに「未確認」という表現を使っているが、「人類の技術では理解できない部分がある」と危機感を強めていることは間違いないだろう。

 国防関係者によれば、「UAPはエイリアンの可能性が高い」との分析結果が内々には出た模様である。もちろん、それ以外の未確認飛行物体の動きは「相手国のスパイ行為」と断定し、警戒感を強めている。とはいえ、機微に触れる情報も含まれるため、議会への報告とはいえ、実態は隠されたままのようだ。

 一方、すでに述べたローブ教授は「アンドロメダ銀河には間違いなく高度な文明が存在する」と断言し、「早く手を打たないと、彼らが開発したエネルギー兵器による攻撃を受ける恐れがある」との警告を発しているわけで、そちらの動きも大いに気になる。

 ローブ教授によれば、2017年に太陽系外から飛来した謎の飛行物体「オウムアムア」も地球外生命体の宇宙船の可能性があるとのこと。そもそも、この無限大の宇宙に知的生命体が人類しか生存していないと思うのが傲慢過ぎるだろう。

 コーネル大学で天文学を担当するリサ・カルテネッガー教授とアメリカ自然史博物館で天文物理学者として活躍するジャッキー・ファハティ女史は今年6月23日、権威ある自然科学誌「ネーチャー」に共同で論文を発表した。その内容は興味深いものだった。

 なぜなら、欧州宇宙局が収集したデータを基に分析した結果、「現時点で確認できた範囲内で宇宙には地球を監視するエイリアンが生存する可能性のある惑星が29ある」というからだ。約1715の星座が地球から発信されている電波を傍受できるとのこと。そのうち46の惑星は地球のラジオやテレビの電波を拾うことができる距離にあるらしい。さらに、これらの惑星のうち、生命体が生存できる環境が備わっている星の数は29におよぶというから、想像力は広がるばかりである。

変わりつつあるUFOをめぐる議論の流れ

 これまで、アメリカでもUFOやエイリアンといえば、「陰謀論」や「SFマニアの空想論」と揶揄される傾向にあった。しかし、国防関係者を中心に、そうした否定的な見方が覆されるようになってきたことは注目に値しよう。限定的過ぎると言わざるを得ないが、多少なりとも情報公開に踏み切ったことは意味がある。流れが大きく変わりつつあることを示唆しているからだ。

 去る5月18日、クリントン政権とブッシュ政権で国防副次官を務めたクリストファー・メロン氏も興味深い発言をしている。「我々は新たな現実に真摯に向き合う必要がある。これまで多くの予算を費やし、地球外生命体の探査に取り組んできた。すでに我々の宇宙船は太陽系を超えて宇宙への旅を続けている。我々が彼らを発見する前に、彼らが我々を見出す可能性が高いといえるだろう」。

 アメリカ海軍で新技術開発の責任者であったショーン・カヒル氏は2004年に海軍のパイロットが撮影したUFOの映像を詳しく分析したうえで、次のように結論付けた。「彼らの技術はアメリカをはるかに凌駕している。とても相手にできない。当時の彼らの技術に追いつくには、我々は少なくとも100年、あるいは1000年近くかかるだろう」。

 その後もアメリカの西海岸やグアムの米軍基地の上空ではUFOの目撃情報が増え続けている。こうした未確認飛行物体の目的は一体何なのか。トランプ前大統領とも親しい関係になり、2024年の大統領選挙ではトランプ氏を応援すると公言するマルコ・ルビオ上院議員曰く、「アメリカの領空にしばしば侵入している未確認飛行物体は脅威として認識すべきである。しかし、UFOを空想論としてまともに受け止めない風潮があり、これはとても危険なことだ。UFOのことをもっと真剣に受け止めなければ、将来、大きく後悔することになるだろう」。

 このようにアメリカではUFO脅威論が高まる一方である。対して、日本は「UFOふれあい館」が象徴するような「出島論」や「ロマン派」が主流だ。三島由紀夫は生前、「UFOの力を借りて日本を変革する」と訴えていた。確かに、UFOを味方につけることができれば、アメリカをもはるかに凌駕できるようになるかもしれない。三島が唱えた「美しい星」理論はアメリカやソ連の核武装を無力化することも狙ったもの。そうした発想を実現できれば日本も世界も大きく変わるに違いない。改めて日本人の想像力が問われている。

(了)

<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)

 国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。最新刊は19年10月に出版された『未来の大国:2030年、世界地図が塗り替わる』(祥伝社新書)。2100年までの未来年表も組み込まれており、大きな話題となっている。

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