【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(61・終)~すべての始まりは「夢物語」から・・・
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C&C21研究会 理事 下川 弘 氏
都市の交通インフラ整備やまちづくりというのは、計画策定から実現に至るまで非常に長い期間を要する。完成までに要する期間は、一般的には基本構想に10年、調整・設計に10年、建設工事に10年の計30年、あるいはそれ以上の時間がかかるといわれている。そのため、長期的な視点に立ったうえで、都市の将来像を考えていくことが大事である。
国に所有権を残したまま運営権を売却する「コンセッション方式」で民営化された現福岡空港では、運営を行う福岡国際空港(株)の事業契約期限は2048年7月31日までとなっている。そして、その後の計画は公表されていない。
もし、民営化の契約が終わった30年後に、改めて新空港建設の議論が行われたとしても、実現するまでにはそこからさらに30年を要する。つまり、今から60年以上先のことになるということだ。
今回まとめた「2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想」は、そうした意味も含めて、増設滑走路が完成したすぐ次のステップで福岡の未来を考える必要があるのではないかと考え、提言したものである。
本連載では、「新福岡空港構想」や「現空港移転後の跡地計画案(ディズニーフォレスト構想、大規模地下駐車場パーク&ライド構想、大規模防災基地構想、大深度地下ダム構想)」「都市高速第2環状線構想」「地下鉄ネットワーク整備構想」など、さまざまな観点から将来像の青写真を描いてきた。
だが、残念ながら、詳細な技術検討や事業計画、事業採算性などについて、細部まで詰められているわけではない。
そのため、行政関係者や専門の土木系技術者などからしてみれば、「いったいいくらの金がかかるか、まったく考えていない」「多重地下空間の整備など、どうやって進めるのか」「子どもが描いたポンチ絵だ」「夢物語の空想・妄想」――といった批判を受けるであろうことは重々承知している。
しかし、みんながワクワクするような空想・妄想だったら、“大ボラ”を吹いたっていいではないか。だって「夢」なのだから――。30年後、あるいは50年後の「夢」を語って目標を決めれば、後はバックキャスティングしていけばいいのだ。
これまでに実現してきた新幹線建設やダム建設、コンピューターの発明や携帯電話の実用化なども、すべて最初は「こんなものがあったらいいな」「こんなものができたら便利だな」といった夢物語から始まったはずだ。
最後に、本連載の初回でも述べたが、世界中の子どもたちに「夢」を与え続けてきたウォルト・ディズニーの名言をお借りして、本構想のまとめとしたい。
(了)
<プロフィール>
下川 弘(しもかわ・ひろし)
1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。関連キーワード
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