【朝倉水害から4年】朝倉の被災地、「進捗は順調」(後)
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平成29年7月九州北部豪雨から4年が経過した。2017年7月5日、朝倉市内は最大雨量700mm(9時間)を超える大雨に見舞われ、山間部で多数の山腹が崩壊。200万m3を超える大量の土砂、流木が赤谷川流域に一気に流れ込み、河道閉塞、氾濫を引き起こした結果、33名の死者、1,469戸の住宅被害を出した。被災地では今も、国土交通省、福岡県、朝倉市がそれぞれ復旧、復興に向けた工事を進めている。朝倉水害の復旧は「概ね5年」をメドに進められているが、被災地は現在どう変わっているのか。これまでの経緯を踏まえつつレポートする。
改良復旧で川をつくりかえる
河川の本格復旧に当たっては、原型復旧ではなく、曲がりくねった河川をなるべく直線に近くする改良復旧、いわゆる新たな河川の創出を計画。改良と聞くとイメージが湧きづらいが、「川をイチからつくり上げる」(中原寛人・九州北部豪雨復興出張所長)という大規模なものだった。改良復旧のうち、川が大きく蛇行している約2km区間の線形変更を行い、もともと10m程度だった川幅を2倍程度に広げることにした。
河川の改良復旧を行うに際しては、朝倉市が行う土地区画整理事業と一体となった整備を行うことにした。区画整理型の農地改良復旧事業は、法律に基づいた事業計画により換地という手法を用いて河川用地を生み出すことができる。朝倉市は19年12月、赤谷川流域で約70haについて事業計画を決定。赤谷川の改良復旧が可能になった。
河川改良に当たって、地元住民への説明は国、県、市連携のもと何度も開催された。公共工事に関する地元説明は、設計図などの図面を用いて行われるのが一般的だが、今回は、30分の1スケールの水理模型を製作した。
「それまでは図面で説明していたが、住民から『わかりづらい』と不評だった。そこで模型をつくって、『あなたのお家は大丈夫ですよ』というようなカタチで、見える化した。現地でもパネルなどを立てて説明するなど、いろいろと工夫しながら説明し、何とかご理解を得られた」(同)と振り返る。
今回、新たな線形変更を進めている赤谷川(林田地区)の工事現場を訪ねてみた。新しい川は、集落の間をすり抜けるように緩いカーブを描きながら流れている。取材当日は、水量はかなり少なく、歩いてわたれるほどしかなかった。河道、護岸はすでにほぼ完了しており、本橋の架替え工事が行われていた。本橋の上流には仮橋が設置されており、意外と多くの車両が行き来していたのが印象に残った。
河川は今年度、砂防は来年度に完了
河川本復旧の進捗率(21年6月末時点)は、応急河道整備はすべて完了しており、残るは護岸・構造物の設計(90%完了)と工事(60%完了、工事契約済み含めれば80%)という状況になっており、21年度中にすべて完了する予定だ。完了後、河川管理は再び県に戻り、県が維持管理していくことになる。
砂防の本復旧工事の進捗(21年2月末)はというと、流域全体の砂防堰堤の整備箇所数30カ所に対し、工事着手済みが14カ所で、このうち完成済みが8カ所という状況だ。河川別で見ると、赤谷川が計画数10カ所に対し、着手済みが8カ所、乙石川が計画19カ所に対し着手済みが5カ所、小河内川が計画1カ所に対し着手済み1カ所となっている。復興センター担当者によれば、「砂防堰堤工事はこれからがピークを迎える」という。砂防の工事完了は、河川から1年遅れる22年度中を見込んでいる。工事の進捗について、「今のところ順調にきている。引き続きスピード感をもって取り組んでいきたい」(川邉英明・九州北部豪雨復興センター長)と力を込める。
(了)
【フリーランスライター・大石 恭正】
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