2024年03月29日( 金 )

【朝倉水害から4年】朝倉の被災地、「進捗は順調」(前)

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 平成29年7月九州北部豪雨から4年が経過した。2017年7月5日、朝倉市内は最大雨量700mm(9時間)を超える大雨に見舞われ、山間部で多数の山腹が崩壊。200万m3を超える大量の土砂、流木が赤谷川流域に一気に流れ込み、河道閉塞、氾濫を引き起こした結果、33名の死者、1,469戸の住宅被害を出した。被災地では今も、国土交通省、福岡県、朝倉市がそれぞれ復旧、復興に向けた工事を進めている。朝倉水害の復旧は「概ね5年」をメドに進められているが、被災地は現在どう変わっているのか。これまでの経緯を踏まえつつレポートする。

線形変更を進めている赤谷川(林田地区)。青い線がもともとの線形。(写真提供:九州地方整備局)
線形変更を進めている赤谷川(林田地区)。青い線がもともとの線形。
(写真提供:九州地方整備局)

権限代行で国直轄へ

 朝倉水害により閉塞、氾濫した筑後川水系の赤谷川、大山川、乙石川は、福岡県管理の河川だ。本来であれば、県が応急復旧、その後の本復旧工事を行うことになるが、大量の土砂や流木を短時間で撤去する対応が必要と判断したため、国交省らも関わることとなった。

 不安定土砂による二次災害のリスクもあった。発災前月の6月19日、改正河川法が施行され、国が都道府県に代わって河川などの復旧工事を行う権限代行制度がスタートしていた。県は7月14日、河川の復旧工事に関する権限代行制度の適用を国に要請し、国は適用を決定。同月18日から権限代行による工事に着手。土砂や流木の撤去など、河川や砂防の応急復旧作業に入った。

 九州地方整備局は18年4月、筑後河川事務所の下部組織として、復旧復興工事を司る九州北部豪雨復興センターを朝倉市杷木支所内に開設。センターの下部組織として、九州北部豪雨復興出張所も新設した。センターには本局職員も入っており、現場でスムーズに対応できる体制を敷いたという意味合いがある。センター所管業務は、権限代行による河川などの災害復旧、17年12月に追加された権限代行による河道付け替えを含む河道整備などの本復旧のほか、国直轄での砂防堰堤の整備などがある。

氾濫した赤谷川(写真提供:九州地方整備局)
氾濫した赤谷川(写真提供:九州地方整備局)

応急復旧は18年5月で完了

乙石川上流部で発生した山腹崩壊(写真提供:九州地方整備局)
乙石川上流部で発生した山腹崩壊
(写真提供:九州地方整備局)

 復旧工事の対象となる河川延長は、赤谷川約7,800m、大山川約2,700m、乙石川約3,300m、合計約1万3,800mに上る。発災後、赤谷川などの河道は一面土砂などで埋め尽くされており、雨水はおろか家庭排水すら流れない状態だった。そこで、通常の降雨を流せる程度の河道断面を確保するところから応急復旧をスタートさせた。流木の搬出先がなく、作業に支障をきたすこともあったが、19年3月までに撤去および処理がほぼ完了した。

 砂防については、広い範囲で山腹崩壊が発生し、河川上流部に大量の土砂や流木が不安定な状態で堆積している状態だった。まずは赤谷川沿いの緊急輸送路である県道52号、緊急避難場所に指定されている松末小学校の保全を最優先に、コンクリートブロックによる仮設の土砂止め工の設置、流木の撤去、土のう積み、仮設の強靱ワイヤーネットの設置など、応急復旧に取りかかった。河川、砂防の応急復旧的な工事は、18年5月末に概ね完了。これ以降、本格復旧にシフトした。

(つづく)

【フリーランスライター・大石 恭正】

(後)

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