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2021年09月24日 16:00

ビル・ゲイツ氏がアメリカ最大の農地所有者になった狙い:GMOフーズ市場

 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。今回は、2021年9月24日付の記事を紹介する。

   世界の大富豪たちの頭脳は我々とは大きく異なっているようだ。長年に渡り世界一の座を占め、今でも世界第3位の資産家の地位にあるビル・ゲイツ氏のことである。2019年9月にはニューヨークで「イベント201」と題する国際会議を主催した。その狙いは「コロナパンデミックのシミュレーション」だった。実際、その後、中国から新型コロナウイルスCOVID-19が世界に広がったわけだが、その3カ月前に感染症の爆発を予測し、「ワクチン接種ビジネスで大儲けできる」と語っていたのである。

 現在、日本も大量の輸入契約を結んでいるのがファイザーやモデルナのワクチンであるが、こうした巨大ワクチンメーカーの最大の出資者にして最大の株主はゲイツ氏に他ならない。世界中が欲しがるワクチンであり、いくらでも高値で売れるというわけだ。ファイザーにとっては「かつてない売り手市場の到来」というわけで、株価も急騰を続け、両社の社長も役員も富豪入りをはたしている。

 そうした状況を目の当たりにすると、「コロナは仕掛けられたものではないか」と疑いたくもなる。そんなゲイツ氏が密かに進めているのが農地の買収である。21年1月の時点で、全米19州で25万エーカーの農地を取得済みという。今や「アメリカ最大の農地王」とまで呼ばれるほどになった。ニューヨークのマンハッタンの10倍以上の農地を手にしているわけで、これは香港全土を上回る広さである。

 はたして、その狙いは何なのか。お忍びでしばしば日本にきているゲイツ氏は、大の和食ファンでもある。軽井沢にも大豪邸を所有するといわれるが、日本の穀物や野菜、果物等の種子(タネ)を買い漁り、ノルウェーの氷で閉ざされたスピッツベルゲン島に「世界最大の種子貯蔵庫」を建設、維持していることは、あまり知られていない。

 もちろん、彼が収集、保管しているのは日本の種子に限らない。世界中で安全、安心、高品質と評価の高い農作物の種子を大量に買い付けている。思い起こすのは、ゲイツ氏がTEDトークでも繰り返した「世界では人口が増え過ぎた。このままではもうじき90億人に達する。食糧不足から対立や戦争も起きかねない。人口を早急に抑制し、少なくとも15%は減らす必要がある」。この発言から察するに、ワクチン製造にせよ、種子や農地の買収にせよ、なにやらきな臭い限りだ。

 いずれにせよ、巨大種子メーカーの動きは我々の発想をはるかに超えているように思われる。世界がCOVID-19で右往左往している状況を横目で睨みながら、「種子争奪戦」を有利に進める布石を着々と打っているからだ。

大豆ミート イメージ 国連は「2030年までに世界から飢餓をなくす」との宣言を行っている。その目標を達成するためにも、また、気候温暖化や自然災害の影響で破壊された農業を再生させるためにも、この厳寒の地に建設された種子バンクの使命は大きいだろう。多くの国が種子を提供すると同時に、この施設の建設や維持管理のコストを負担していることからも、この構想への期待の大きさがわかろうというものだ。

 しかし、こうした政府からの資金とは比較にならないほど多額の資金を提供しているのが、世界の3大種子メーカーなのである。もちろん世界最大の慈善団体である「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」もこの事業には深く関与し、多額の資金提供を行っている。

 世界中から集められた種子であるが、人類が危機的事態に直面した際に、どのようにしてタネの配分を行うかについては何も取り決めがなされていない。集めるだけ集めたのは良いのだが、一体全体どのようにして活用するのか。その見通しも具体的な利用方法も未定のままである。

 かつてノーベル平和賞を受賞したアメリカの元国務長官ヘンリー・キッシンジャー氏は次のように語る。「アメリカの第三世界外交の最大の要(かなめ)は人口抑制策である。アメリカが必要とする天然資源の多くは発展途上国に眠っている。石油を支配する者は国家をコントロールできる。食糧を支配できれば、人類をコントロールできる」。その食糧をコントロールするのが種子(タネ)である。

 このタネをめぐる争奪戦が静かに始まった。遺伝子組み換え種子の最先端の研究はアメリカの国防総省が主導している。世界が「見えない敵」と呼ばれる新型コロナウイルスとの戦いに気を取られている隙に、である。なぜなら、「コロナウイルス禍が終息した後には食料危機が待ち構えている」とのシナリオが描かれており、敵対国家には種子の提供を拒否することもできるからだ。

 さらには、ゲイツ氏は遺伝子組み換え技術を活用した人工肉の開発に成功している。「インポッシブル・フーズ」と呼ばれ商品化しているが、主に大豆を原料に人工の牛肉や豚肉らしい食品を売り出し、大成功を収めているのである。これには同じ大富豪仲間のジェフ・ベゾス氏も協力している。

 これは「フェイクニュース」ならぬ「フェイクミート」なのだが、自然や健康にプラスという触れ込みで、アメリカから世界にブームが起き始めている。ニューヨークでは最もファッショナブルなレストランの1つと評判のモモフクで人気を博し、香港やシンガポールでもフェイクミート料理を提供するレストランが急増中だ。

 表向き、ゲイツ氏は「新しい資本主義」を提唱し、「途上国のニーズに合わせたビジネスを展開することが世界の安定と発展にとって欠かせない」との立場をとっている。要は、「市場の力で社会を変えよう」というゲイツ氏ならではの発想である。GMOフーズを通じて、農業の在り方や食生活まで変えようというわけだ。

 こうした種子の遺伝子情報を国際特許で押さえてしまったゲイツ氏のビジネス感覚は、マイクロソフト時代にウィンドウズでOSの世界標準を押さえた発想に通じる。将来、人類が人口爆発や食料危機という異常事態に直面することを想定し、「最後に笑うのは自分である」との野心家らしい思いが伝わってくる。世界の大富豪たちを味方につけ、地球的規模の難題にチャリティー精神で取り組むヒーロー役を見事に演じているビル・ゲイツ氏。

 実は、日本では「GMOフィッシュ」の研究に拍車がかかっている。遺伝子組み換え技術を活用し、魚介類、とくに高級魚の身を増やす実験が成果を上げており、政府による承認が間もなく下りると思われる。実験段階では自然の魚と比べ身の量が50%も増えることが確認されており、漁獲量が減るなかで日本漁業の救世主かと期待が寄せられている。

 しかし、本当に人間の身体にとって安全なのかどうか。「フェイクミート」も「フェイクフィッシュ」もまだ検証作業は終わっていない。


著者:浜田和幸
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