2024年04月18日( 木 )

『脊振の自然に魅せられて』第16回脊振クリーンアップ登山(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 10月3日(日)、「第16回脊振クリーンアップ登山」を開催した。2008年に西南学院大学ワンダーフォーゲル部OB・OG、早良区役所と共働で脊振山系に道標設置事業を記念して以来、09年からは春と秋に開催し、14年の春の部からは、山開きに切り替えた。

 昨年は10月11日(日)に金山(967m)で開催する準備をしていたが、台風の接近により、登山者の安全を考慮して中止を余儀なくされた。

 早良区役所で今年のクリーンアップ登山は行うべきかどうかを協議。コロナ禍とはいえ、野外イベントであり、十分な感染対策を行うということで開催することにした。「福岡市政だより・早良区版」での募集も、例年より参加人員を絞って20名にした。

 毎年協力してくれる後輩の西南学院大学ワンダーフォーゲル部の部員がたった2人になっていた。コロナ禍で大学の方針のよって部活が制限されるなか、SNSで部員募集を行い、ようやく8名が入部した。

「第16回脊振クリーンアップ登山」チラシ
「第16回脊振クリーンアップ登山」チラシ

開催に向けて

早良区役所と数回にわたりクリーンアップ登山の打ち合わせ

・新型コロナ感染対策
・市政だよりによる募集人員
・ワンダーフォーゲル部部員送迎のための区役所所有のマイクロバス使用
・登山ルート
・当日のスケジュール
など。

大規模土砂崩れ対策

 9月の初め、道標メンテナンスの際、椎原バス停から車で林道を通過すると大出橋付近に「通行止め」の標識が設置されていた。

 やむを得ず、近くにある杉林の駐車スペースに車を停め、林道を歩いて登山口へと進む。進むにつれ、路上に小石が目立ちだし、石が段々大きくなり数も増えてきた。さらに奥へ進むと植林された直径50㎝ほどの杉が何十本もなぎ倒され、林道補強のコンクリートや大きな岩が濁流によって林道の上部から崩れ落ちていた。水の勢いは想像を絶するように激しかったようで、大規模な土砂崩れが発生し、壊滅的な状態となっていた。土砂崩れの場所は、林道の分岐点だった。後日、先輩である副代表 Tに現場を確認してもらい、倒れた杉の大木を数本切り、人が通れるようにしようと決めた。福岡市役所森林林政課に相談したところ、倒木の処理は構わないとのことだった。

 9月21日(火)に倒木処理を行うことが決まった。筆者、ワンゲルのT先輩、後輩 Hとタケノコ農業の経営者である T の4名が参加し、通行止め地点からチェーンソーと草刈機を担いで現場に向かう。チェーンソーの達人T が、直径50㎝はある杉の倒木4本を処理した。長さ10m、直径50㎝もある杉は、2つに切ると片方の杉は跳ね上がり、谷へと落ちていった。万が一、この杉に当たると大怪我や命を落とすおそれがあるのでチェーンソーを使う時は細心の注意が必要だ。

 切り取った丸太を利用し、土砂で盛り上がった林道に階段をつくって登山者が安全に歩けるようにした。倒木の処理が終わり、2台の草刈機で登山口周辺の草を刈った。台風により、駐車スペースに倒れていた長さ10m、直径15㎝ほどのリョウブの木や枝を先輩Tがノコギリで処理した。これでようやく登山者が安全に通れるようなった。

9月26日、ワンゲルの学生たちと下見登山

 下見登山にはワンゲルの学生8名とOB5名が参加した。学生たちに西南学院大学体育館に午前8時に集合してもらい、OBの自家用車3台で送迎した。

 椎原登山口―矢筈峠―脊振山―椎原峠―椎原登山口ルートを歩く。新入部員は初めて山を経験する者が多く、ほとんどが登山靴ではなくスニーカーだった。大学の新型コロナ対策指導により部の活動が思うようにできていなかったのも装備不足の一因だった。

 10月3日(日)、脊振クリーンアップ登山の当日は快晴。早良区役所のマイクロバスが区役所の駐車場で待っていた。

交通手段の問題

 脊振山に登るには、早良区脇山から、さらに奥の椎原バス停を利用する。周辺には早良高校や脇山小学校がある。過疎地の集落向けのバスは、早良高校や脇山小学校への通学者が利用するため、平日に関していえばバスの回数は比較的多い。しかし、土日は博多駅発しかなく、椎原バス停へは早良営業所で乗り換えるしかない。発車時間に間に合わないとタクシーを利用するしかない。まったく土日のイベントには苦労させられる。また脊振への登山口である椎原バス停周辺の駐車スペースは限られており、登山口にわずかな駐車スペースがあるのみだ。しかし、今回は登山口まで続く林道の土砂くずれで通行止めとなっており、登山口周辺の駐車スペースは利用できない。

 バス停付近の駐車スペースは道路回収工事の際、地元町内会が登山者のために路肩を広くして車が駐車できるようにしてくれたので、車両と車両の間を詰めれば7、8台は停められる。

 脊振の自然を愛する会のスタッフと会員は、ほとんどが自家用車を利用しているが、一般登山者も利用するので、今回はできるだけ車の台数を減らすことを心がけた。

(つづく)

2021年10月19日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

(後)

関連キーワード

関連記事