九州発、不活化コロナワクチンが第II/III相治験に移行~KМバイオ(熊本市)
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明治ホールディングス傘下のKМバイオロジクス(熊本市)は10月22日、開発中の新型コロナの予防ワクチン「KD-414」の臨床試験(治験)を第II/III相治験(中期治験)に移行、この日被験者数人に接種したと発表した。
全国の12医療機関で18歳以上の健康な成人2,000人への接種を目標に、1回0.5㏄ずつを2回、27日間隔で筋肉注射して免疫原性(抗原が免疫応答を誘導する能力)と安全性を検討する。最終段階の第Ⅲ相治験を経て23年3月末までに実用化する計画だ。
同社のワクチンは、コロナウイルス株をアフリカミドリザル腎細胞由来のベロ細胞で培養した後、ウイルスをホルマリンなどで不活化(無毒化)させて精製する。インフルエンザワクチンと同様の「不活化ワクチン」で一般的に安全性が高いとされる。
国立感染症研究所、東京大学医科学研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所と20年5月、共同開発に着手。21年3月、福岡市と熊本市で健康な20歳以上-65歳未満の105人と65歳以上の高齢者105人の計210人を対象に第I/II相治験に入り、9月に「安全性と有効性が期待できる結果を得られた」として次の段階への移行を発表していた。
第II/III相試験は最終段階の前半。接種後の獲得免疫の活性化状態などを調べる。その後、最終段階後半に移行するが、時期は未定。ただ菊池研究所(熊本県菊池市)でコロナワクチンの生産施設を整備中で22年3月までに年1,500万回(1人2回接種換算で750万人)分の生産体制を整える。
国内では第一三共(東京都中央区)と塩野義製薬(大阪市)もコロナワクチンの開発を急いでいる。
第一三共は10月21日、米国のファイザーやモデルナと同じタイプのmRNAワクチン「DS-5670」の第Ⅱ相治験を11月中に開始し、22年3月までに第Ⅲ相治験への移行を予定していると発表した。
「DS-5670」は21年3月に開始した健康な成人と高齢者の計142人に対する第Ⅰ相治験で、「2回目接種4週間後までに安全性の大きな問題は認められず、投与後の有効性も確認された」としている。
同社は、国民のワクチン接種が進んでいるのを念頭に、「DS-5670」をワクチン既接種者へのブースター接種用としても22年1月に治験を始める。▼おすすめ記事
大分大附属病院で次世代コロナワクチンの治験始まる 全国民接種でも127g塩野義製薬は10月20日、開発中の遺伝子組み換えたんぱくワクチン「S-268019」の第II/III相治験(中期治験)を国内で始めた。
同社のワクチンは、昆虫を宿主とする「バキュロスウイルス」(ヒトなどに感染しない)に外来の遺伝子を組み込んで昆虫細胞に感染させ目的のタンパク質を発現するタイプ。
mRNAワクチンが、コロナウイルスの突起部「S(スパイク)たんぱく質」の遺伝情報を脂質に包んで体内に入れて「Sたんぱく質」をつくって抗体を誘導するのに対し、遺伝子組み換えワクチンは生産工場で作製した「Sたんぱく質」そのものを体内に入れて抗体をつくる。
日本人の成人60人を対象にした第I/II相治験では「安全性について大きな問題は見られず、良好な中和抗体価の上昇を確認した」としている。第一三共と塩野義製薬のワクチンは、すでに複数のコロナワクチンが流通しているため、最終段階の第III相治験では既存ワクチンと比較し有効性や安全性などを判断する方法になるとみられる。
【南里 秀之】
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