全管協グループ・全国賃貸住宅修繕共済の実態(2)全管協九州支部が指摘した粉飾決算・不適切会計の可能性
会計への疑問に約2年間説明せず
全管協(全国賃貸管理ビジネス協会)には内部組織として、全国賃貸住宅修繕共済(協)(以下、「修繕組合」)というものがある。
マンションの経年劣化、老朽化に対して、分譲マンションでは、区分所有者が管理組合へ修繕費を積み立てておくことで、大規模修繕工事に備えるという仕組みが制度化されている。しかし、賃貸マンションにおいては、分譲マンションのような管理組合が存在せず、修繕計画や資金の確保はオーナー次第となる。
修繕組合は、賃貸住宅オーナーが将来の大規模修繕費を「共済掛金」として毎年支払い、その掛金を支払時の必要経費・損金に算入しながら修繕資金を準備する制度を運営する事業協同組合で、全管協(全国賃貸管理ビジネス協会)の会員企業の多くが加盟している。
前回記事では、この修繕組合が国土交通省へ提出した報告書に、虚偽記載があったのではないかとの指摘が、加盟企業から出ていることを紹介した。
これについて当社が取材を進めたところ、加盟企業の代表者や全管協九州支部が、修繕組合に対して粉飾決算または不適切会計の可能性について、過去に説明を求めていたが、約2年もの間、具体的な説明を得られていなかったことがわかった。
そして、再三にわたる全管協九州支部からの要求の結果、ようやく2026年1月7日に開催された「全管協九州支部役員会」にて、修繕組合の責任者は「ご質問の回答」として「財務諸表等は、毎期、国交省へ報告・提出して承認を受けています」と説明を行った。
当初は「国交省の承認」と回答するも、後日一転
しかし、九州支部役員会での回答に疑問を抱いた「全管協をよくする会」は同年2月16日付で修繕組合に対し質問書を送付した。その質問書では、国交省が修繕組合の財務諸表を承認した事実はあるのかどうか、また承認を行った国交省の部門と担当者について回答を求めた。ちなみに「全管協をよくする会」には、全管協九州支部の役員や加盟企業の代表者も加盟している。
「全管協をよくする会」の質問書を受け、修繕組合は同年3月2日付で同会に提出した回答書で、「法令上、財務諸表の内容について承認を行う制度はございません」と回答し、実質的に「承認」の事実はないことを認めた。
これについて全管協加盟企業のある代表者は、「修繕組合が約2年間にわたって具体的な説明を引き延ばしたのは、虚偽や疑義が露見することを恐れたからではないか」と語る。
修繕組合はまず、加盟企業の代表者が多数集まる1月7日の九州支部役員会において、「修繕組合の粉飾決算または不適切会計の可能性」の質問に対して、「財務諸表等は、毎期、国交省へ報告・提出して承認を受けています」と回答したわけだが、単なる制度への認識不足による回答だったとは考えにくく、粉飾決算等の可能性を隠蔽した、あるいは虚偽の説明をしたと指摘を受けるのは当然だろう。
黒字決算に向けられた3つの疑問
当社は全管協九州支部の修繕組合加盟企業の複数の代表者に、自民党員問題と並行して九州支部が修繕組合の会計に関する回答を求めた理由について取材を行った。その中で次の3点の指摘を得た。
(1)九州支部の会員が自信をもって修繕組合の商品を販売する必要がある。もし粉飾決算または不適切会計であれば、顧客などに対して信頼を失うことになる。
(2)修繕組合の粗利益は毎年請求限度額の1%。ビジネスモデル上黒字になるまでは2万件程度の契約が必要である。
(3)修繕組合は、日本で最も家賃が高いといわれる東京丸の内エリアの高層ビルに事務所を構えており、人件費とともにその高額な賃料も販管費として勘案すると、黒字になる可能性は低い。ところが損益計算書では黒字となっている。
上記の(2)と(3)について説明すると、ある全管協九州支部の会員は「修繕共済の1件当たりの掛金が約4万円。仮に2万件の場合、4万円×12か月×2万件=96億円(共済掛金)、修繕組合の粗利益はその1%として9,600万円だが、修繕組合の販管費(人件費と事務所賃料を含む)を考えると、黒字にはならないのではないか」と指摘した。
本件について当社は関係書類を入手しており、次回以降で詳細な解説を行うが、この他にも別途国に提出した書類や、国土交通省へ提出義務のある縦覧書類を書き換えているとの指摘まで出ている。
第三者委員会の設置を拒む全管協
修繕組合の母体である全管協については、職域支部を通じて自民党員の不適切な党員獲得を行っていたことを当社ならびに週刊ポストが報じ、これに対し、他メディアからの取材も相次いでいるが、高橋誠一氏や三好修氏ら歴代の全管協会長は、これに対して何ら説明を行っていない。また、この記事で取り上げた、修繕組合の不適切会計の疑惑に関しても「問題ない」と主張しており、「全管協をよくする会」が求めている第三者委員会の設置を拒否している。
三好氏は全管協九州支部長を務めているが、以前紹介したように辞任要求が出たのは、九州支部内からの批判や、本部に対する会員企業の不満の声に対応してこなかったためである。
よくする会に参加している全管協加盟企業の代表者は「全管協の状況は、現在、全国的に話題になっている福岡県議会・福岡県の問題と似たようなものです。自分たちに都合の悪いことは一切答えようとしない」と憤りを隠さなかった。
(つづく)
【近藤将勝】











