2022年01月25日( 火 )
by データ・マックス

資源リサイクルと産廃低減に挑む環境ソリューション企業

(株) 冨士機
代表取締役会長 藤田 以和彦 氏
代表取締役社長 藤田 岳彦  氏

エコロジーエンジニアリングの第一人者

 「建設」は人間の諸活動に適合するよう自然に手を加える行為であり、環境への負荷を本質的にはらむ営為である。だが、20世紀後半から始まった建設ラッシュは、先進諸国の人々に空前の経済的繁栄をもたらす反面、大規模かつ深刻な環境破壊を引き起こし、このままでは人類の未来脅かされると警鐘が鳴らされるまでとなった。こうして建設業界は開発と自然環境保全という2つの社会的要請の最前線に立つことになったが、(株)冨士機は、そんな同業界を高い技術で支え続けてきた、エコロジーエンジニアリングのエキスパートである。

プラント写真
プラント

 同社は建設現場で発生する産業廃棄物、とくに、建設リサイクル法の指定項目ではないが幅広い活用と発生の抑制が求められている建設汚泥や浚渫土について、環境に悪影響をおよぼさない土に瞬時に改質し、さまざまな用途に再利用できるようにするための技術――「中性化固化改良工法」――を開発・普及させてきた。たゆまぬ研究を通じて培われたミキシング技術、六価クロム等の有害物質を使用せずあらゆるタイプの泥土に対応できる固化材の製造技術、そして場所を取らないコンパクトな設備。これらを一体化させたユニットにより、施工性、コスト性、環境への配慮といった建設現場の課題を一挙にクリアできる。さらに、高速連続バッチ運転で品質を保ったまま大量に改質できることに加え、湿潤しても再泥化することがなく、さまざまな用途に再利用できる資源にできる。まさに夢のような技術だ。

 実際、この「中性化固化改良工法」は2005年に東京メトロ13号線(副都心線)の建設工事で採用され、同社は建設汚泥処理の第一人者としてその名を全国に轟かせることになった。以後も東京メトロから礫泥水リサイクルプラントや泥分級破砕プラント、流動化処理土製造業務などを受注。いまやスーパーゼネコンをはじめ、全国建設業各社から次々とオファーが舞い込む。JR東海のリニア新設、大阪市の25年万国博覧会開催にともなうインフラ整備、福島県内の3・11復興事業の一環としての汚染土壌改良など、今後も新規プロジェクトへの参加が続々計画されている。藤田以和彦会長が長年構想してきた有明海の環境改善に係る事業展開も、視野に入ってきている。

次世代型生コン工場でSDGsにも合致

残コン洗浄分級装置
残コン洗浄分級装置

 そんな同社は、実は生コンクリートの製造およびプラントの企画・設計、さらには施工まで手がける生コンのエキスパートでもある。傘下には(株)セントラル商工、(株)エフ・エム・シー、(有)ちくしの産業が名を連ね、グループ一丸となって高品質の生コンを各建設現場に供給し続けてきた。

 同社箱崎工場はじめ、那珂川市と筑紫野市などの工場で生コン製造に当たってきたが、このたびちくしの産業・太宰府工場(太宰府市内山538-1)が次世代型生コン工場を新設し、21年4月に製造を開始。150坪の敷地内に、4階建の建屋。プラントなど生コン製造に関わる設備に加え、残コン廃棄物をゼロにする洗浄設備・回収骨材の分級設備および貯蔵ビン、スラッジ水(コンクリートの洗浄排水から、粗骨材、細骨材を取り除いたもので、生コンの練り混ぜ水として再利用可)濃度調整設備を統合した工場だ。

 コンセプトは「環境負荷低減型生コンプラント」。粉塵・騒音が発生しないことはもちろん、回収した骨材はJIS A5308の定めに則る専用の設備で管理し、粗骨材・細骨材ともに20%まで再利用可能。スラッジ水はスラッジ固形分率3%を超えないことを条件に使用を認められているが、同2.5%を維持し、月間出荷量5,000m3という生産規模でありながら年間200tのCO2を削減できる。まさにSDGsの「つくる責任つかう責任」「産業技術革新の基盤をつくろう」のゴールに合致する生コンプラントなのだ。すでに同業他社による工場見学申し込みも増加中、同社の存在感はいや増すばかりである。

 「CO2削減に対応できる生コンプラントの建設・稼働は、業界内の大きな課題でした。今回新設・稼働できたことで、地球環境保全に貢献できるかと存じます。加えて資源枯渇と産業廃棄物の低減の対策にも役立てるものと期待しています。今後も同社の礎である環境ソリューションに貪欲に取り組み、地域・国そして地球の環境が改善されることに貢献してまいります」と語る藤田会長。今後もますます生コン業界の、いや建設業界全体の発展に寄与していくことへ、意欲と自信をみなぎらせる。

社会に貢献する専門家育成の体制づくり

(株) 冨士機 代表取締役会長 藤田 以和彦 氏
(株) 冨士機 代表取締役会長 藤田 以和彦 氏

 その他にも数々の革新的技術を生み出し続け、多数の特許を保有する同社。藤田会長も「特許は20年が期限ですが、期限内に再び新たな技術を開発する土壌が我が社にはあります」と胸を張る通り、社員が一体となって日々進化を求め技術開発に挑む企業風土がつくり上げられてきた。すなわち、藤田会長が描く新技術のグランドデザインを基に、社員が高度な専門的知識を駆使してその実現に当たるという体制である。

 その構築・維持を支えてきたのは、その年年の業界の動向および社内における人材バランスを考えた積極的な若手採用と、専門家としての徹底した教育である。「藤田イズム」ともいうべきこの方式で、社員はやりがいを実感し、新たな技術を生み出すことへの意欲を高める。その証拠に、同社には福岡県内はもとより九州全域から人材が集まり、かつ離職率はほぼゼロと極めて低い。20年10月1日に藤田岳彦氏を代表取締役社長、藤田以和彦氏を会長とする新体制で再出発した同社。2人が手塩にかけて育て上げた人材とともに、持続可能な社会の構築へ向けて、いまこの瞬間も進化を続ける。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:藤田 以和彦(会長)
    藤田 岳彦(社長)
所在地:福岡市博多区博多駅東1-10-30
設 立:1972年9月
資本金:5,000万円
TEL:092-432-8510
URL:http://www.kk-fujiki.jp


<プロフィール>
藤田 以和彦
(ふじた いわひこ)
1943年、福岡県生まれ。東福岡高校5期生。福岡大学中退後、実父経営の鉄工所に入社。69年9月に事業を継承。72年9月に(株)冨士機鉄工(現・(株)冨士機)を設立し、代表取締役に就任。趣味は登山。

藤田 岳彦(ふじた たけひこ)
1965年12月、福岡市生まれ。学卒後、(株)冨士機鉄工(現・(株)冨士機)入社。2006年専務取締役を経て20年10月に代表取締役社長に就任。

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