2024年04月24日( 水 )

経営者が知っておくべきDX「街道とDX」

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 今回からはシリーズで、経営者が知っておくべきDX(デジタル・トランスフォーメーション)の在り方をいろいろな観点から捉えていきたいと思います。今回は街道=主要交通システムという観点から、まちづくりと事業成長の関係性を紐解いていきます。

 街道の価値は社会の動脈であることです。ひとやものの移動を支え、経済・文化の発展を支える主要交通システムであり、都市政策・まちづくりの要です。現代では高速道路、鉄道、海路や空路をといったかたちに進化しています。一方で環境負荷、公害、人口過密、過疎化などの社会問題の集積点としての側面ももっています。

 SDGsなども鑑みると、主要交通システムは単純に開発・拡大するだけではなく、関連する社会問題解決も考える必要があります。それは行政だけでなく、地域の不動産業や製造・流通業、サービス業、生活者としても考えるべきことです。では、いかに取り組んでいくべきでしょうか。そのキーワードがDXです。

 まず経済ではなく“ひとの豊かさ”を中心に置くこと。そして、透明性・俊敏性・全体性について、デジタルの視点でとらえ直すことが必要です。

透明性の視点
街道・主要交通システムの利用実態をデータで把握する

俊敏性の視点
データに基づき、必要施策を柔軟かつ俊敏に周辺地域を含めて実施する

全体性の視点
周辺地域の社会活動を、街道・主要交通システムを起点に描き直す

 実践レベルでは、街道・主要交通システムに関わる利害関係者でコミュニティを形成し、デジタルを前提に自律的に社会問題解決に取り組み、街道のブランド価値を高めることが必要です。とくに、次の(1)~(5)の地道な繰り返しが重要です。なお、こうしたデータを取得する仕掛けは、たとえば政府のRESASなど、すでに利用できる環境もあります。

(1)場づくり
  周辺地域を含め、利害関係者同士のオンラインを含む対話の場をつくる

(2)共通理解
  周辺地域を含め、データに基づく問題意識とビジョンを共有する

(3)共創実践
  問題解決に向けて、先端技術などを活用しながら共創活動を実践する

(4)知の蓄積
  実践で得た知恵をデータ化し、利害関係者が利用できるようにする

(5)価値検証
  街道・主要交通システムの状況をデータ化し、施策効果を分析する

 企業経営の観点で見ると、街道・主要交通システムのDXに関わることで事業に影響するデータを外部からも獲得し、早期の課題対応・機会獲得が可能になります。たとえば、不動産開発や出店計画、流通最適化、人員計画などに先手で動くことができるのです。資産価値を高めることも期待できるでしょう。

 街道・主要交通システム、さらにはそこから派生する社会問題解決、まちづくりといったキーワードは、企業経営から遠く感じるかもしれません。しかしながら、DXを念頭に組み上げれば事業基盤の強化につながり、結果的に、非常に有用な事業成長機会につながるのです。


<プロフィール>
渋谷 健
(しぶや・たけし)/フィールド・フロー(株) 代表取締役
外資系コンサルティングファーム、国内ベンチャー、国内大手企業経営戦略室を経て2014年にフィールド・フロー(株)を設立。「事業に脚本を」をコンセプトに、戦略立案からシステム開発や人財育成までを総合的に提供するオープン・イノベーション実践活動を全国展開。経済産業省・農林水産省などの政策事業、北九州市・宮崎県などの地方創生事業、大企業・金融・ベンチャーなどの民間事業に、プロの事業プロデューサー/ファシリテーターとして関わる。

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事