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2021年11月18日 10:02

ワクチン接種をめぐる攻防戦の行方、プラスチック汚染も誘発(後) 未来トレンド分析シリーズ 

国際未来科学研究所 代表 浜田 和幸

使い捨てマスクによる海洋汚染

捨てられたマスク イメージ 台湾の疾病対策センターによれば、不適切に海洋投棄されたマスクによって、環境が汚染されているのみならず、ウイルス感染の拡大という事態まで引き起こしているとのこと。事態を重く見た台湾環境保護省では「マスクの不法投棄」に罰金を科すことを決定しました。こうした問題は台湾に止まらず、中国、フィリピン、タイ、マレーシア、ベトナムでも発生しています。

 たとえば、中国の武漢では1日当たり247tものマスク・手袋・注射器などが医療廃棄物として発生しているという報告があるほどです。また、魚などの胃袋からはマスクが見つかっています。

 世界的に見れば、事態はさらに深刻で、香港に拠点を構える「オーシャンズ・アジア」によれば、昨年だけで15億6,000万枚もの使い捨てマスクが海洋投棄され、6000tほどのプラスチックが投げ捨てられたことになると報告されていますが、これは氷山の一角に過ぎません。

 何しろ、2020年だけで世界全体では520億枚ものマスクが生産されていますから。このまま放置すれば、海洋汚染は取り返しがつかなくなります。下手をすれば、魚介類が食べられなくなってしまうかもしれません。対策としては、「使い捨てマスクから再利用可能マスクへの転換」や「使い捨てマスクのポイ捨てや海洋投棄の禁止」が早急に求められます。

 さらに、まだ大きくは問題視されていませんが、プラスチックの焼却によって石炭より多くのCO2が発生しているという「不都合な真実」があります。プラスチックの再利用として焼却し建築材料を製造しているのですが、その過程で大量のメタンガスが発生しているのです。言い換えれば、現時点で悪人扱いされている「石炭」に代わって、将来は「プラスチック」が「環境汚染の悪玉」に認定される可能性が高いといえます。

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 地球環境問題を協議する国連主導のCOP26も閉幕したところです。CO2の2大排出国である中国とアメリカがどこまで歩み寄りを見せるかが注目されましたが、結局のところ「努力を加速する」といった抽象的な結論で終わってしまいました。また、プラスチック公害の問題も議論されませんでした。

 そうした流れを受け、11月15日、米中トップ同士による初のオンライン会談が行われました。ここでは、環境問題に加えて、「台湾有事」など安全保障をめぐる対立が浮き彫りになったようです。というのも、中国が軍事力を行使して台湾を併合する動きを加速すれば、アメリカも軍事力で台湾を擁護することになるため、台湾を舞台に米中間の軍事的衝突が勃発するという可能性が高まってきたためです。

 万が一、そのような事態になれば、日本にとっても一大事となります。なぜなら、日本の輸出入にとって生命線である台湾海峡を含む海上輸送路(シーレーン)が寸断されることもあり得るからです。

 今回の首脳会談でバイデン大統領からも習近平国家主席からも、そうした「台湾有事」を回避したいとの思いは伝わってきましたが、「一寸先は闇」ともいえる緊張状態が解消されるまでには至っていません。当面、綱渡りのような事態が続くことになりそうです。

もう1つの「台湾有事」が発生

 そんな折、まったく異質の「台湾有事」が発生しました。日本では報道されていませんが、台湾ではファイザーのワクチンを接種した若年層の間で心筋梗塞など心臓の機能障害が多発しているのです。そのため、台湾政府は10代の若者に対しては2度目の接種を受けさせないことを決定したといいます。

 加えて、12歳以下の子どもへの接種は全面的に禁止することも検討しているとのこと。もともと12歳以下の場合は、感染したとしても、重篤化あるいは死亡するようなリスクはゼロということが統計的にも明らかになっているからです。

 台湾の保健当局は10代の若者の間で急増する副反応という緊急事態の原因を早急に究明するとしています。まさに「台湾有事」といえるでしょう。もちろん、これは日本にとっても「他山の石」とすべき状況だと思われます。

(了)


浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
 国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。最新刊は19年10月に出版された『未来の大国:2030年、世界地図が塗り替わる』(祥伝社新書)。2100年までの未来年表も組み込まれており、大きな話題となっている。最新刊は『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』(祥伝社新書)。

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