2024年04月27日( 土 )

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は日本の民主主義が正念場を迎えていると訴えた1月4日付の記事を紹介する。

2021年は政権選択選挙である衆議院総選挙が実施されたが、岸田自民党が大勝して政治刷新のチャンスを活かすことができなかった。

岸田自民大勝の最大功労者は枝野幸男氏。

2012年総選挙での野田佳彦氏に匹敵する大きな功績を上げた。

両名とも意図して功績を上げたのかもしれない。

大きな見返りが存在することが推察される。

枝野氏の最大の功績は政治刷新を望む主権者の投票意欲を際限なく引き下げたこと。

政治刷新勢力の力を結集しなければならないときに、政治刷新勢力の分断が誘導された。

最大のアシストを演じたのが連合の芳野友子氏。

逆に芳野友子氏が主役で枝野幸男氏がアシストしたともいえる。

連合は政治刷新を求める勢力でない。

連合に所属する労働者は約700万人で労働者全体の1割程度に過ぎない。

連合所属労働者の約6割が「6産別」と呼ばれる(労組)に加盟している。

「6産別」とは「電力総連」「電機連合」「自動車総連」「UAゼンセン」「基幹労連」「JAM」のことで、電力、電機、自動車、繊維・流通、鉄鋼、機械・金属などの産業の大企業御用組合の集合体。

大企業御用組合の正規労働者は「貴族労働者」で一般労働者と異なる。

このため、「6産別」は一般労働者の側ではなく大企業経営者の側に立つ存在といえる。

2021年衆院総選挙で枝野立憲民主党は連合の軍門に下った。

連合は大資本経営側に立つスタンスだから共産党との共闘などはもってのほか。

芳野会長は「共産党との共闘などあり得ない」と公言したが、この発言に唯々諾々と従ったのが枝野幸男氏である。

このスタンスは日本政治刷新を求める主権者とまったく相容れないもの。

立憲民主党が日本政治刷新を追求する存在であることを前提に立憲民主党を支援してきた主権者が一斉に立憲民主党から離れた。

これが立憲民主党惨敗の主因である。

共産党の得票は2017年総選挙と大差がなかった。

共産党が選挙区選挙で立憲民主党候補者を支援したから選挙区で立憲民主党は多くの議席を確保した。

共産党の選挙協力がなければ立憲民主党の敗北はさらに悲惨なものになっていたはずだ。

このことを踏まえて今後の戦略を構築しなければならない。

その際、見落としてはならない点がある。

敗戦後日本を支配し続けている「支配勢力」の思惑と行動だ。

敗戦後日本を支配し続けている「支配勢力」とはいうまでもなく米国の支配者。

米国を支配する勢力のことを最近は「ディープ・ステイト=DS」と呼ぶ。

DSの思惑と行動をしっかりとチェックすることが重要である。

DSにとっての最大の悪夢は2009年に誕生した鳩山内閣だった。

彼らは「民主党政権の悪夢」という。

これは冗談でなく本音だ。

2009年に誕生した鳩山内閣は日本政治の基本構造を根底から刷新しようと
した。

それゆえに彼らは鳩山政権のことを「悪夢」と表現する。

彼らにとっての最大脅威であった証左だ。

鳩山内閣は日本政治の「米国支配」「官僚支配」「大資本支配」の構造を打破しようとした。

これを実行されたら彼らはひとたまりもない。

「戦利品」である日本利権を失うことになる。

DSは死に物狂いの総反撃を行った。

その結果として鳩山内閣はわずか9カ月で破壊された。

DSが採用した方策は以下の3つ。

人物破壊工作

改革勢力分断

えせ革新勢力創出

である。

この3つの工作活動が現在進行形で推進されていることを認識しなければならない。

旧民主党内には対米従属勢力が潜伏していた。

DSは民主党内に潜む対米従属勢力を動員して鳩山内閣を破壊した。

もっともわかりやすいのが普天間県外移設方針の妨害。

鳩山首相は普天間の県外移設方針を定めた。

これを民主党内対米従属勢力が妨害、破壊した。

菅直人内閣は改革内閣だった鳩山内閣を破壊して創設された対米従属の傀儡政権であり、野田佳彦内閣も同じだ。

旧民主党の最大の問題は1つの政党内に改革勢力と守旧勢力が同居していたこと。

この問題が現在まで尾を引いている。

その淵源は1960年にある。

1960年に民主社会党=民社党が創設された。

改革勢力が一枚岩に結束することを阻止するために、えせ改革勢力を人為的に創出したものだ。

狙いは野党陣営の分断。

CIAが資金援助して創設された。

その支援母体になったのが「同盟」。

「同盟」の役割を引き継ぐのが現在の連合「6産別」。

「同盟」と「6産別」は基本的に同類の存在だ。

立憲民主党と国民民主党の離合集散で野党分断工作勢力が国民民主党に、改革勢力が立憲民主党に分離・分割されたとが期待されたが、このまま放置すれば立憲民主党だけが躍進する可能性が高かった。

工作者=DSは立憲民主党に対する工作活動を強めて、立憲民主党の変質を実現した。

これに応じたのが枝野幸男氏である。


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