• このエントリーをはてなブックマークに追加
2015年05月15日 16:09

安倍政権の憲法破壊阻止が最重要課題 植草一秀氏ブログ「知られざる真実」 

 政治経済学者の植草一秀氏は5月12日、自身のブログ記事で、橋本徹大阪市長が提示している「大阪都構想」は大阪府や大阪市民だけの問題だけなく、日本の憲法改定という全国民の問題に繋がると警告している。


 5月17日に大阪市で大阪都構想の賛否を問う住民投票が行われる。大阪市長の橋下徹氏が大阪都構想を提示している。共同通信社が大阪市の有権者を対象に5月9、10両日実施した電話世論調査では、大阪市を廃止し5つの特別区を新設する「大阪都構想」について、賛成39.5%、反対47.8%で反対が賛成を8.3ポイント上回った。
 ただし、投票までまだ時間があること、また、賛成者と反対者の投票率に差が生じる可能性があることを踏まえれば、結果を断定することはできない。橋下徹氏は、昨年12月の総選挙において、創価学会、公明党と連携する姿勢を示した。苦境に立たされている橋下氏が創価学会に大阪都構想への支持を「懇願」する可能性もあり、予断を許さない。決定権を有するのは大阪市民であり、大阪市民には参政権を放棄することなく、意思表示の一票を投じてもらいたいと思う。

 今回の住民投票で大阪市民は二つのことを考察しなければならない。
 ひとつは、大阪都構想そのものの是非。もちろん、これが基本にはなる。しかし、もうひとつの事情を十分に考慮しなければならない。それは、今回の住民投票結果が今後の日本政治全体に与える影響が大きいことだ。
 具体的に言うと、住民投票で都構想が否決される場合、橋下徹氏は「政治家を辞める」と明言している。とはいえ、平気でウソをつく人物だから、本当に政治家を辞めるのかどうかは分からない。しかし、橋下徹氏の政治的影響力はいよいよ地に堕ちることになる。
 逆に、大阪都構想が肯定される場合、橋下徹氏が政治的影響力を維持する可能性がある。ここが最重要のポイントだ。それは、安倍政権が憲法改定を強行するに際して、橋下維新の力を活用しようと企んでいるからだ。
 大阪都構想が肯定された場合、橋下大阪市長は大阪都構想実現の目途をつけたうえで、来年夏の参院選に出馬すると見られている。安倍晋三氏は国会議員となる橋下徹氏と連携して、憲法改定を強引に推し進める可能性が高いと見られているのだ。
 つまり、大阪市民は、今回の住民投票において、二つのことがらを考察し、どちらに比重を置いて投票するのかを決める必要がある。大阪都構想の是非と同時に、憲法改定の是非を考察し、どちらに軸を置いて投票するのかを定める必要があるのだ。

 二つの問題のうち、圧倒的に重大であるのは後者だ。憲法改定が強引に推し進められることを、私たちは体を張って阻止しなければならない。このことに比重を置いて考えるなら、答えは明瞭である。大阪都構想に断固NOを突き付けて、橋下徹氏の政治的影響力を完全に封殺することが望ましいのだ。憲法改定に賛成ならば大阪都構想に賛成票を投じるのもよいだろう。
 しかし、日本を再び戦争国家に転落させることは、体を張ってでも阻止しなければならないと考える主権者は、地を這ってでも今回の住民投票に参加して、都構想反対の一票を投じるべきである。

 世論調査で反対多数でも、住民投票でこれを否決するには、投票所に足を運び、反対票を投じることが必要不可欠だ。総選挙を棄権した人も、今回の住民投票には必ず行かねばならぬ。都構想の賛否よりもはるかに重要な問題のために、必ず、投票所に行って、都構想反対の一票を投じるべきなのである。
 私は日本の地方自治体制の抜本的な刷新が必要であるとの持論を有する。その観点から言えば、人口266万人の単一自治体は規模が大きすぎると考える。しかし、現行制度下で大阪府を5つの特別区に分割しても、この特別区の自治権は制限付きのものにしかならない。問題は大阪市単独の問題ではなく、日本全体の問題である。このことについては、改めて、国全体の問題としてじっくりと検討するべきだ。いま、拙速に大阪都構想を推進すべき理由は見当たらない。憲法破壊、憲法改定に突き進む安倍晋三政権の暴走を阻止するには、まずは、今回の住民投票で大阪都構想を否定しておかねばならないのである。

※続きはメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1144号「安倍政権の憲法破壊阻止が最重要課題」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2019年08月19日 11:26

日韓の経済力格差は?(前)NEW!

 筆者は1981年に日本に留学する機会を得た。日本は1954年から1973年までの19年間、実質GDP成長率が9.3%という驚くべき成長を記録し、いわゆる高度成長を経...

2019年08月19日 10:50

海洋資源大国・日本の生きる道:海底に眠るレアアース泥でエネルギー革命を!(後編)NEW!

 「水を制するものは、世界を制す」。これが21世紀の資源争奪戦の現実である。狭い国土に人が密集しているが、石油などエネルギー資源の乏しい国。必要なエネルギー源の9割を...

2019年08月19日 10:39

【政界インサイダー情報】カジノ管理委員会の人事等、設立の準備が進むNEW!

 政府は今秋の臨時国会において、内閣府大臣官房の指揮下、カジノ管理委員会設立に向けた人事案を提出するとのことで、来年度の具体的な実行に向け、着々と準備が整っている。全...

2019年08月19日 10:05

HIS、ユニゾHDの敵対的買収に発展~それぞれが抱える表に出せない裏事情(前)NEW!

 ホテル事業などを手がけるユニゾホールディングス(HD)は8月6日、旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が実施中のTOB(株式公開買い付け)に対し、取締役会として反...

2019年08月19日 09:50

香港、マカオ、深圳 視察報告 「世界一港湾都市」奪取計画の現在地(後)NEW!

 香港国際空港のマカオ行きバスターミナルは大陸(珠海市)方面行の団体客が溢れ、長時間の待機を余儀なくされた。この際、我々日本人には何も言わない職員が、中国人団体客に対...

「れいわ新選組」経済政策公約歩みと今後の課題NEW!

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は教条主義の下で消費税増税に突き進むことは悪政の代表であると訴えた8月...

2019年08月19日 07:00

流通業界イマドキの「人材確保事情」 人手不足が小売企業の経営を揺るがす(後)NEW!

 小売業の求人募集といえば、以前はレジ後ろや店頭掲示板を使った店内掲示などが主であった。店内掲示は緊急性を要さない場合や、継続的に新規採用を続けたい場合に向いている。...

2019年08月19日 07:00

【夏期集中連載】金融機関を取り巻く現状(後)NEW!

 7月10日、横浜銀行と千葉銀行が「業務提携で合意した」との発表があり、業界にインパクトを与えた。いまや銀行同士の業務提携(アライアンス)はとくに珍しくもないが、地銀...

2019年08月18日 07:30

香港、マカオ、深圳 視察報告 「世界一港湾都市」奪取計画の現在地(中)

 中国のシリコンバレーと呼ばれる深圳市にはファーウェイ、テンセント、ドローン製造のDJIなど技術系企業が集積する。ファーウェイ本部の広さは約60万坪。ヤフオクドーム2...

2019年08月18日 07:00

流通業界イマドキの「人材確保事情」 人手不足が小売企業の経営を揺るがす(前)

 人手不足が各業界で深刻化するなか、小売を始めとする流通業界もご多分に漏れず同じ様相を呈している。もともと利益幅が薄い小売業界では、労務問題を起因として赤字転落する企...

pagetop