2022年06月27日( 月 )
by データ・マックス

「百年企業の計」 経営の要諦は不断の“変化適応力”

(株)松本組 代表取締役社長
松本 優三 氏

2016年に創業100周年

(株)松本組 代表取締役社長 松本 優三 氏
(株)松本組
代表取締役社長 松本 優三 氏

    (株)松本組は1916年創業、66年に株式会社化して現在に至る、福岡の建設業界を牽引する存在である。94年に社長に就任した現代表取締役の松本優三氏のもとで、2016年には創業100周年を迎えた。同氏が強調するところによれば、「会社経営にとっての要諦は、不断の変化適応力である」。

 社会は常に変化するもの。同時に人々の価値観も激変するため、アンテナを研ぎ澄まして先手を打つことが重要となる。この度のコロナ禍は経済市況や社会環境に想定外の変化をもたらし、これまで社会に求められていた業界でもいきなり「レッドカード」を突き付けられることが多発している。旅行業(海外旅行)がその典型で、インバウンド需要が“跡形もなくなった”からである。人の移動が制限されると航空会社・鉄道会社の業績が悪化する。関係者にとっては前代未聞の事態であろう。パチンコ業界も再起不能になるのではと思えるほど市場規模が縮小してきている。

地場トップ企業も大胆な変革

 福岡のトップ企業も大胆に変革の道を選択している。コロナ禍で出生率が大幅に減少し、人口減も加速度的に進行している。九州の市場を独占しているある企業のように、この流れを見極めて「海外市場へ活路を求める」事業計画を発表している例もある。「大手企業ほど時代の波動を鋭敏につかむことに長けている。その流れに乗じてビジネスを再構築するスピードには感服させられる」と松本氏は率直に評価する。

 こうした時代の変化は人事の面にも反映している。6年ほど前、「昭和28(1953)年生まれが福岡財界のトップを占める」と騒がれたことがあったが、福岡FG、西日本鉄道、JR九州などの社長に就任した昭和28年生まれのメンバーはその後卒業して会長になり、一昔前の「財界人」という役回りの人が皆無となった。どうやら「70歳までには現役から引退しよう」という流れが定着してきたようである。

 この流れをメジャーにしたのは、ふくおかFGの中興の祖と評された谷正明氏である。会頭と会長を兼務し、驚くなかれ、長崎の名門・十八銀行を親和銀行と合併させてグループ配下に置くという辣腕を発揮した。従来であれば、これだけの実績を積んだトップは名誉職に就いても陰で影響力を保持する道を選んだであろう。しかし、谷氏は会長職から離れて以降、出社もしなくなった。今の時代、この潔さが高く評価されている。

世代交替こそが適応能力を磨くための源泉

 松本氏に「最近、地元財界のトップが君臨する期間が短くなった。だから、財界人という存在の影が薄くなったのでは」と質問してみた。「確かにトップ在任の期間が短くなった感じがする。ただ、大手企業だからこそ、時代の変化に敏感である。その采配をふるうメンバーたちは、自分の役割とその限度をしっかり認識していると思う。激変する時代に己の任務を全うして後輩たちに道を譲ることこそ、組織・企業にとっての“適応能力磨きの鉄則”と意識しているのではないか」という明快な回答であった。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:松本 優三
所在地:福岡市東区馬出1-1-19
設 立:1966年5月
資本金:1億円
TEL:092-651-1031
URL:http://www.matsumotogumi.net


<プロフィール>
松本 優三
(まつもと ゆうぞう) 
1957年11月、福岡市生まれ。明治大学商学部卒業後、81年に(株)松本組へ入社。常務取締役、代表取締役副社長を経て、94年7月、代表取締役社長に就任。福岡県建設業協会会長、建設業労働災害防止協会福岡県支部顧問。

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