経営者が知っておくべきDX「組織とDX」
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DX(デジタル・トランスフォーメーション)を実践的にビジネスで取り組むためには、何が必要なのでしょうか?今回は、「組織」という観点から読み解いていきます。
まず改めて確認しておくべきことは、DXは“D”よりも“X”が重要だということです。さらにいえば、デジタルは概念として捉えるべきであり、単純にITツールを導入することではありません。デジタルが当たり前となった現代社会において、必要なカタチに変わっていくことなのです。
では、概念的に捉えるデジタルとは何でしょうか?それは透明性と俊敏性、全体性をもった状態のことを表します。組織の観点からDXを捉えた場合、組織における透明性・俊敏性・全体性を高次元で実現することが、DXということになります。
組織における透明性
組織における透明性とは、単純にいえば情報共有のことを表します。組織内で一部の人しかアクセスできないブラックボックス化した情報がないようにして、必要な人が適切に必要な情報にアクセスできる状態にすることです。この部分においてはITツールや、そのツールを活用するための情報リテラシーも不可欠になります。
組織における俊敏性
俊敏性は、状況に応じて柔軟かつ迅速に動き方を変え、問題に対応していくマネジメントの在り方を表しています。単純なトップダウンや、ハンコをたくさん押すような昔ながらの稟議手続きではなく、自律分散型でスピーディーに物事に対応することが求められます。「アジャイル」(Agile/素早い・機敏な)という言葉でも表現され、透明性の高い情報共有環境のうえで、個々が自律し、かつ相互信頼関係があるなかで、やり方に囚われずに目的志向で動けることが必要になります。組織における全体性
組織は1つのアクションが複雑に影響し合います。場合によっては自組織だけでなく、他の組織にも影響し、またその逆もしかりです。従って、自分たちがどのような影響関係にあるのかを読み解いて、透明性高く必要な情報を共有して、俊敏性高く必要な手を打っていくことが求められます。言い換えれば、全体性とは戦略を描くことです。経営層はこの全体性を抑えることが重大な責任となってきます。組織におけるDXとは、ITツールを入れればいいということではありません。自組織の透明性・俊敏性・全体性を高め、今の社会において必要な状態にすることです。その実現には、軋轢・痛みもともないます。それを乗り越えてこそ、組織におけるDXは実現し得るのです。
<プロフィール>
渋谷 健 (しぶや・たけし)
フィールド・フロー(株) 代表取締役
外資系コンサルティングファーム、国内ベンチャー、国内大手企業経営戦略室を経て2014年にフィールド・フロー(株)を設立。「事業に脚本を」をコンセプトに、戦略立案からシステム開発や人財育成までを総合的に提供するオープン・イノベーション実践活動を全国展開。経済産業省・農林水産省などの政策事業、北九州市・宮崎県などの地方創生事業、大企業・金融・ベンチャーなどの民間事業に、プロの事業プロデューサー/ファシリテーターとして関わる。月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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