2024年04月25日( 木 )

糸島市、再エネ導入を促進~自然環境との調和目指す

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

グリーン&スマートシティ糸島へ

 糸島市は、「糸島市地域再生可能エネルギー導入戦略(以下、エネルギー導入戦略)」を策定した。国が2050年カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出ゼロ)を目標に掲げるなか、市としてもこれを契機に再エネ導入を加速させることで、エネルギーの「地産地消」を促進させたい考えだ。

 市では、自立したエネルギー供給システムを構築することで、公共施設などの建物管理の効率化・自動化(BEMS)。ひいては市内の工場や事業所、住宅まで、地域全体におけるエネルギー管理の一元化(CEMS)を可能とする「グリーン&スマートシティ」の実現を目指す。

糸島市地域再生可能エネルギー導入戦略
エネルギーの地産地消システムを構築した市の将来像
(イメージ)

 市のエネルギー消費量は2015年の数値で年間2,237TJ(テラジュール)。対して、市内で生産できているエネルギー量は太陽光発電42,683kW、ごみ発電3,000kW、小水力発電287kWなどで、大半を市外から購入している。金額にして、年間144億円が市外へ流出してしまっている状況だ。
 市民の安心・安全な暮らしの維持に不可欠なエネルギー。今回策定されたエネルギー導入戦略は、エネルギーの域外依存度軽減に向けた取り組みでもある。

※CEMS(セムス)…地域全体のエネルギー需要を管理するシステム。たとえば、住宅の屋根に設置された太陽光発電による電気が余った場合、電気使用量の多い商業エリアへ融通する。電力需要が逼迫した際には、各家庭や事業所の電化製品を省エネモードに切り替え節電するなどの取り組みが想定される。 ^

高いポテンシャルと自然との調和

 豊かな自然が大きな魅力の糸島市は、地中熱や小水力、洋上風力など、地域特性に応じた再生可能エネルギーの導入に適した環境が整っている。また、九州大学伊都キャンパスとの連携により、利用時にCO2を排出しない水素を燃料とした燃料電池や新たなエネルギー源の開発・利用も期待される。

 一方で、豊かな自然を背景とした山海の幸、マリンスポーツやツーリングなどのアクティビティ、“映えスポット”の存在は大きく、糸島の財産である自然との調和をいかに図っていくかが課題となる。発電施設開発による影響についても、市民とともに考えていく必要があるだろう。

 市は22年度以降に協議会を立ち上げ、年次でのモニタリングやエネルギー導入戦略達成に向けたロードマップの見直しなどを行っていく方針だ。

▼合わせて読みたい
小水力発電がつなぐ地域コミュニティの未来

【代 源太朗】

関連キーワード

関連記事