2024年04月25日( 木 )

再エネ開発SPC、バイオマスプロジェクト第1号が破産

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(同)バイオマスプロジェクト第1号があったオフィスビル
(同)バイオマスプロジェクト第1号が
あったオフィスビル

    再生可能エネルギー施設の開発管理などを行う特定目的会社(SPC)、(同)バイオマスプロジェクト第1号(以下、バイオマスプロジェクト)が4月13日、東京地裁から破産手続開始決定を受けた。負債総額は約60億円。

 バイオマスプロジェクトは、2021年10月9日に破産手続開始決定を受けた(株)JCサービスのバイオマス発電開発事業などに携わっていた。(株)グリーンインフラレンディングはネット上のファンドを用いて小口投資家から再エネ施設の開発資金を調達する企業で、JCサービスはグリーンインフラレンディングの親会社だ。そのためJCサービスは、再エネ投資の「グリーンインフラレンディング」の投資資金の貸付先となっており、投資家への利回りは10%以上となっていた。

 グリーンインフラレンディングは投資家に分配・償還する原資の一部がJCサービスに不正に送金されて流用され、長期にわたり投資家への分配金が延滞したため、債権者であるmaneoマーケット(株)から破産を申立てられ、21年4月9日に破産手続き開始決定を受けている。

 グリーンインフラレンディングのホームページ内にある「バイオマス発電ローンファンド」には、ファンドの資金は借り手である「事業者A」に貸付けが行われ、さらに「事業者A」から「事業者C」に貸付けが行われ、「事業者Cは、タイ国におけるバイオマスペレット製造・輸送業務設計および同燃料利用による国内バイオマス発電所設計に基づき、事業者F(SPC)を通じ、第1号案件として以下のバイオマス発電所の開発を進めています」との記載がある。JCサービスのHPには、バイオマス発電事業として「(タイで植え替えの際に伐採された)ゴムの木を、現地工場で高品質なペレットに加工して日本に輸出し、国内のバイオマス発電所で燃料として活用する」という説明があることからも、「事業者C」はJCサービス、「事業者F」はバイオマスプロジェクトを指すものと思われる。

 JCサービスが開発を進めていたバイオマス発電所の概要は以下の通り。

所 在 :東海地方
事業用地:約62,900m2
発電出力:約50MW(経済産業省認定)
売電予定価格:24円(税抜)/kWh

 バイオマス発電ローンファンドは、「本件開発案件を当該発電所の建設・運営を目的として新たに設立する予定の事業主体に販売することにより、販売後の売却資金を原資に返済が行われます」としている。一方、グリーンインフラレンディングは「(これらの開発案件に対して)『売却に向け交渉中です』」との回答に終始し、一切開示を行わず、返済を延滞していたため、maneoマーケットから破産を申し立てられることとなった。

 この問題を受けてJCサービスは21年3月31日に民事再生手続を申請、最終的には破産手続開始決定を受けた。その後、JCサービスが破産手続きを進めるなかで、バイオマスプロジェクトに関しても債務整理が必要となったことから、JCサービスの破産管財人が債権者として破産手続開始を申し立て、今回の措置となった。

【石井 ゆかり】

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