2022年06月26日( 日 )
by データ・マックス

ウクライナ侵攻、円安 つづく物価上昇

世界 イメージ    ロシアによるウクライナ侵攻から3カ月が経過した。ロシア側は当初、短期間での首都陥落、現政権の転覆を見込んでいたようだが、ロシア軍は5月9日の旧ソ連の対ナチス・ドイツ戦勝利の「戦勝記念日」という節目を過ぎても撤退することなく、いつ集結するかの見通しが立たないまま、長期化する様相を呈し始めている。

 それにともない、ウクライナ侵攻が世界経済におよぼす影響もより深刻に、かつ長期化すると懸念される。すでに両国が生産地となっている商品のサプライチェーンに直接影響がおよんでいるほか、物流面でロシアを迂回する必要が生じたことなどにより、燃料と食料などを中心に原材料価格が高騰し、世界経済の先行きは不透明さを増している。

 国際通貨基金(IMF)が4月19日に発表した世界経済見通しでは、今年の実質GDP伸び率を1月に発表した前年比4.4%増から同3.6%増に下方修正した。この修正幅0.8%ポイントのうち、ロシアの落ち込みの寄与が0.32%ポイント、ロシアと経済的な結び付きの強いEUの落ち込みの寄与が0.18%ポイントであり、落ち込みの主要因がロシアの行為であると確認できる。

 同じくIMFが発表した今年の物価上昇率予測によると、先進国が5.7%(昨年3.1%)、新興国・発展途上国が8.7%(同5.9%)と、それぞれ1.8%ポイント、2.8%ポイント上方修正された。先進国は38年ぶりの高水準、新興国・発展途上国は2008年以来の高水準という。

 資源輸入国である日本が受ける影響は大きい。実際、日本国内でもさまざまな品目の食料品価格の値上げが実施され、あるいは予定されている。

 総務省が20日発表した消費者物価指数によると、22年4月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、コアCPI)は前年比2.1%増(3月は同0.8%増)となり、15年3月の同2.2%増以来の高い水準となった。上昇率は前月から1.3ポイント拡大しており、主にエネルギー価格と食料価格の上昇によるものだ。

 ロシア、ウクライナ両国が主要な産地となっている小麦粉(米国農務省のデータによると、21-22年の輸出量でそれぞれ世界1位、5位)を例にとると、主要な輸出地は欧州であるものの、日本にも間接的な影響が出ている。農林水産省は3月、4月からの輸入小麦(北米、オーストラリア産)の政府売渡価格の引き上げ(21年10月の価格から17.3%引き上げ)を発表した。

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 引き上げは業者間の取引価格、そして小売価格へと波及する。製粉業界では4月に入り、日清製粉グループ、日本製粉、昭和産業の製粉大手3社を含む各社が、6月20日出荷分から業務用小麦粉の価格を引き上げると発表した。それを受け、4月下旬から今月上旬にかけて、山崎製パン、フジパン、敷島製パンの製パン大手3社が7月1日出荷分からの食パン、菓子パンなどの値上げを発表した。製粉大手は家庭向け商品でも7月以降の小売価格の値上げを決定している。同じく輸入小麦を利用する中華麺などほかの製品でも値上げが予想されている。

 企業の調達について、日銀が発表した4月の企業物価指数(企業間取引のモノの価格を示す指数)によると、国内企業物価指数は前年同月比10.0%と1980年以来の伸び率を記録し、3月以降に影響が大きくなっていることが確認できる。

 ウクライナ侵攻という海外要因に、さらに円安が加わり、輸入品を中心に価格の上昇圧力が強まってきている。1~2月は1ドル113~115円台で推移していたが、3月から円安が進行し、5月上旬には130円に達した。現在(25日時点)は127円前後となっているが、130円は2002年4月以来の円安水準という。

 海外要因(ウクライナ侵攻)と円安による価格の上昇が続けば、市民の生活を圧迫していく。生活防衛の意識を高めていくことが求められそうだ。

【茅野 雅弘】

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