2024年04月27日( 土 )

福岡再開発の目玉となるか好立地パチンコホール(前)

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プラザ赤坂閉店の衝撃

 福岡のホール経営業者のなかで“四強”と呼べるのが、「ワンダーランド」運営のタイラグループ、「ユーコーラッキー」運営のユーコーラッキーグループ、「フェイス」運営のフェイスグループ、そして、「プラザ」運営の宣翔物産だ。

 グループ全体の売上規模でいくと、1,000億円を上回るのがユーコー、フェイスの両グループ。下回るのが宣翔物産である。頭1つ抜けているのがタイラグループで、売上規模は2,000億円におよび九州No.1を誇る。

 ほか3社に売上規模で劣る宣翔物産だが、地価の上昇が続く福岡市の中心部天神や、その隣接エリアの赤坂、再開発が計画されている長浜エリアなど、好立地に店舗を展開してきた。なかでも、JR博多駅・筑紫口の目の前で営業中の「プラザ博多」は、同ホールが入るホテルクリオコート博多の運営も同社が手がけるほか、不動産(土地面積約630坪)も所有しており、その不動産価値は一部で「坪単価2,000万円は下らない」「欲しいところは200億円出してでも買うでしょう」との声が挙がるほどで、資産背景は潤沢だ。

 同社はホール運営のほかにホテル運営も手がけ、地域密着での営業活動ながら、2017年には800億円超の売上高を計上していた。しかし、近年は業界を取り巻く環境の変化や、コロナ禍などの影響で収益性は低迷。21年には売上高が500億円台にまで減少している。

 全国的に店舗再編が進むなか、「プラザも合理化を図るのではないか」と業界内で噂された。宣翔物産は創業50周年を迎える22年を「第二創業期」と位置付け、テーマとして「プラザを壊す。プラザを創る。」を掲げており、このことも合理化断行への憶測を強める一因となった。

 それでも、同社にとって“顔”ともいえる天神、赤坂、博多の店舗が対象になることはないと考えられていたが、この予測は外れることになる。「プラザ赤坂閉店のお知らせ」。プラザ赤坂に設置された立て看板には、5月22日の営業をもって同ホールを閉店する旨が記載されていた。

 この情報は驚きとともに業界関係者、遊技ファンを中心に拡散された。プラザ赤坂は、天神~博多を結ぶ福岡市内交通の大動脈・国体道路沿いかつ、福岡市地下鉄空港線・赤坂駅から徒歩5分圏内の好立地。パチンコ・スロット総設置台数1,000台を超える巨艦ホールでもあり、高い集客力を誇っていた。もともとこの場所では、21世紀グループがホール「コア21赤坂店」を営業していたが、計画通り収益を上げられず、11年6月に閉店。その後を引き継ぐかたちで登場したのが、プラザ赤坂だった。宣翔物産としては、大型店を構えることで市の中心部に競合他社が参入してくるのを防ぐ目的があったが、「以前に比べ稼働は悪かったですし、コロナ禍で設備全般の供給が滞っている現状を考えれば、ほかの高稼働の店舗にリソースを回した方がいいとなるのは当然の判断でしょう」(ホールA社員)という声に加えて、新規参入に旨味がない業界動向を考えれば、プラザ赤坂は役目を終えたため閉店したともいえる。

5月22日に閉店したプラザ赤坂
5月22日に閉店したプラザ赤坂
プラザ赤坂閉店告知
プラザ赤坂閉店告知

 プラザ赤坂を不動産として見た場合、交通アクセスの良さはすでに述べたが、周辺には飲食店や商業施設も多く、目と鼻の先では旧大名小学校跡地のまちづくり(ザ・リッツカールトン福岡を目玉に、オフィスやイベントホールなどがオープン)も進む稀少性の高い立地にある。

 土地面積は約800坪で、所有者はもちろん宣翔物産だ。すでに売却が決まっており、売却価格は50億円とも80億円ともいわれている。活用方法についても定かではないが、更地にしたうえでマンションを建てるとの話も聞こえてくる。

 コア21の時代から数えれば、19年の長きにわたって赤坂にはランドマークとなるホールが営業していたわけだが、プラザ赤坂の閉店により、同エリアからホールは完全に姿を消すことになった。

【代 源太朗】

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