2024年05月20日( 月 )

Z世代時代の街力(まちりょく)~学園都市復権の道筋~(1)

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街力が高い情景とは
街力が高い情景とは

 2022年、今年の新卒は大学生活の半分をコロナ禍で過ごした世代といえる。新たな常識にも柔軟に対応しながら就職という大事な意思決定をした彼らは、社会人1年目の時点で変化の激しい時代を生き抜くリテラシーが身についている頼もしい存在ともいえるかもしれない。キャンパスへの通学を前提とされていた大学生活も、大きな変化を求められた。大学キャンパスとその周辺の街とは密接に関係し、かつて学園都市として隆盛した街も多い。これから学び舎と都市の関係はどのように進化していくのか、若者の象徴として語られるZ世代の取り巻く思想や属性、環境を通して学園都市の未来を考察してみたい。

学園都市創造の今

 人口約67万人を擁する東京都足立区には、1993年に放送大学の東京足立学習センターができるまで大学がなかった。魅力的なまちづくりのために大学を積極的に誘致しようと、2006年に東京藝術大学千住キャンパスが開校したことを皮切りに、07年には東京未来大学、10年には帝京科学大学、12年には東京電機大学のキャンパスが次々に開校。今では5つの大学を有する学生の街となった北千住には、多くの若者が往来し、街の雰囲気も変わってきている。

 東京藝術大学千住キャンパスでは、地域と連携して演奏会やイベントなどを開催。地域住民が音楽や芸術の楽しさに気軽に触れ合える機会を提供している。また、最寄りの東京芸術センターと提携して、北千住を文化・芸術の発信拠点とするためのさまざまなプロジェクトに取り組む。東京電機大学東京千住キャンパスでは、キャンパスの一部が一般開放され、学食を兼ねたカフェやオープンスペース、小学生向けの工作教室や大学生と地域住民が交流できるイベントなど、積極的に街に開かれることで駅東口のイメージを大きく変貌させた。

 大学増加にともない、街を歩く人々の数が増え、年齢層も若返り、街にも彼らをターゲットとする今どきのおしゃれな店が増えた。まさしく「学園都市」といった景観を醸し出しているようだ。

学園都市北千住(出典:TV東京)
学園都市北千住(出典:TV東京)

最も人が減った京都市

 大学の授業がオンライン中心になったことなどにより、大学生は引っ越しをせず実家などから授業を受ける、また国の水際対策で留学生がやって来なくなったなどの特殊事情があった。21年、大学の数が多い京都市は、全国約1,700の市町村のなかで最も人口が減少した自治体となった。その数8,982人(自然減が5,795人、社会減が3,187人)。前回テーマでも少し触れたが、京都市内にある大学数は政令指定都市のなかで最多である(2位:神戸市、3位:名古屋市、4位:札幌市、5位:福岡市)。

 政令指定都市のなかでも高齢化率が高い京都市は、出生率も1.21(全国平均1.34)と全国最低水準にある。自然増減数は、出生数と死亡数により決まるので、京都市は高齢者の亡くなる数が多く、生まれてくる子が少ないということだ。また社会増減数は転入数と転出数により決まるから、単純に街から人が逃げて行っている数ということで、京都市はその年最も人気がない街だったともとれる指標だ。

京都市の人口・世帯数の月次推移(各月1日現在)(京都市HPより)
京都市の人口・世帯数の月次推移(各月1日現在)
(京都市HPより)

 ちなみに人口減少した自治体の2位~5位までは東京都内の街がほとんど(2位:江戸川区、3位:新宿区、4位:豊田市、5位:豊島区)。21年はコロナ禍の影響で東京都内からの人口流出が始まったとも見て取れる。


松岡 秀樹 氏<プロフィール>
松岡 秀樹
(まつおか・ひでき)
インテリアデザイナー/ディレクター
1978年、山口県生まれ。大学の建築学科を卒業後、店舗設計・商品開発・ブランディングを通して商業デザインを学ぶ。大手内装設計施工会社で全国の商業施設の店舗デザインを手がけ、現在は住空間デザインを中心に福岡市で活動中。メインテーマは「教育」「デザイン」「ビジネス」。21年12月には丹青社が主催する「次世代アイデアコンテスト2021」で最優秀賞を受賞した。

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