• このエントリーをはてなブックマークに追加
2015年06月24日 11:48

自主回収から4年、『茶のしずく』問題を振り返る(1)

 お茶石けん『茶のしずく』の販売開始から6年で、売上高300億円を突破し、急成長を遂げた福岡の通販会社(株)悠香。しかし、石けん利用者に小麦アレルギー症状の発症が相次いだため、2011年5月に自主回収に踏み切った。その後、原告1,330人以上の集団訴訟が起き、裁判は大詰めを迎えている。自主回収から4年が経過した『茶のしずく』問題を裁判や学会の動向、行政の対応などを通して振り返る。

鹿児島地裁の和解案 16人が受け入れ

sinbun<

当時の新聞

 『茶のしずく』石けん損害賠償請求訴訟は全国26の地裁で行われ、原告は合計すると1,330人を超える。損害賠償請求額も総額で約140億円以上に上る。最も人数が多い東京弁護団は、12年4月の第1次訴訟から第5次訴訟にわたって提訴、原告は82人から167人に増えた。

 裁判は東京地裁が最も先行している。東京地裁では、責任論と損害論に分けて18回にわたり審理が進められてきた。双方の主張は出尽くし、7月に裁判所からの和解案が提示される。現在、1人ひとりの症状ごとに和解金額を算出する個別立証の段階に入っている。また鹿児島地裁では、昨秋に審議の途中で裁判所から和解案が提示された。その後、金額などの折衝を経て、4月には原告36人のうち16人が和解案を受け入れた。

 鹿児島地裁の和解案は、これまで進めてきた責任論・損害論の審理の結果を反映させた内容でなく、あくまでも「見舞金」の名目で裁判所が早期解決のために提案したものだ。被告3社のうち、原料供給会社の(株)片山化学工業研究所(以下、片山化研)は和解案を受け入れず、販売会社の悠香と製造会社の(株)フェニックスが和解に応じた。和解金額は症状によって1人あたり約120万円~150万円。和解金は悠香が約60%、フェニックスが約40%を負担した。

 この結果について鹿児島弁護団は、「和解金額は不十分で、納得した人は1人もいない。ただ、裁判がストレスになっている人もいて、これ以上裁判を続けたくない人は和解に応じた」としている。同裁判の原告1人あたりの請求額は、アナフィラキシーショック症状が出た人が1,500万円、アナフィラキシーショックに至っていない人が1,000万円だった。鹿児島地裁での和解金は請求額の10分の1程度の金額となり、東京弁護団や東京の原告らも強い不満を示している。

東京地裁の和解案を警戒

 5月19日に東京地裁で開かれた直近の裁判(第18回口頭弁論)では、悠香側の意見陳述で、悠香の代理人は鹿児島地裁で原告が和解案を受け入れたことを述べ、東京地裁でも同様の和解案に応じないと、金額面で不利になる可能性があるという旨の発言を行ったという。

 これに対し、弁護団は「今の発言は訂正すべき。弁護士法に違反するのではないか」と反発し、裁判長も「鹿児島地裁と東京地裁は別」と指摘したという。東京弁護団事務局長の中村弁護士は、取材に対し「(悠香側の発言は)原告が多数参加している法廷で言うべきことではない。7月に裁判所から和解案が出されることが決まっているなかで、利益誘導につながる発言」と話している。

 鹿児島地裁での和解案は審議の経過を考慮していない内容だが、東京地裁から7月に出される和解案は、これまでの双方の主張を反映させたものになる見通しだ。この点について悠香側は、「裁判が継続中なので、質問には一切答えられない」としている。

(つづく)
【山本 剛資】

 
キーワードタグ:悠香  ※記事へのご意見はこちら
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2019年08月19日 15:06

西日本新聞の柴田建哉社長殿、貴方は社を復活させる覚悟がありますか?(1)NEW!

 まずは弊社が発刊するI・Bの2019夏季特集号の巻頭文「『人口減』の先に待ち受ける、激変時代 企業の命運は朽ちるのか、あるいはいかに発展させるのか」を参照されたし。

2019年08月19日 14:51

フージャース、大分で99戸新築マンションNEW!

 大分市中島町2丁目で、まもなくマンション新築工事が始まる。物件名は「デュオヒルズ大分中島」で、地上15階建の総戸数99戸のマンション。建築主は(株)フージャースコー...

2019年08月19日 14:40

『脊振の自然に魅せられて』「夏だ! 沢登りの季節がやってきた」NEW!

 今年の夏は例年より暑さを感じます(加齢のせいもあり)。こんな時期の山旅は沢に限ります。福岡市早良区飯場に福岡市で唯一の大型渓谷「野河内渓谷」があります。この渓谷は井...

2019年08月19日 14:22

ライオンズクラブ337-A地区 明るい未来をつくるために(1)NEW!

 世界最大級の奉仕団体として知られるライオンズクラブ。同クラブは、『We serve』─「ライオンズクラブを通じて、ボランティアに社会奉仕の手段を与え、人道的ニーズを...

2019年08月19日 13:00

人間に死を選ぶ自由は存在しないのだろうか(前)NEW!

 NHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」(2019年6月2日放送)を見た。ある女性が全身の身体の機能が奪われる「多系統萎縮症」という回復の見込みのない難病と宣告され...

2019年08月19日 11:26

日韓の経済力格差は?(前)NEW!

 筆者は1981年に日本に留学する機会を得た。日本は1954年から1973年までの19年間、実質GDP成長率が9.3%という驚くべき成長を記録し、いわゆる高度成長を経...

2019年08月19日 10:50

海洋資源大国・日本の生きる道:海底に眠るレアアース泥でエネルギー革命を!(後編)NEW!

 「水を制するものは、世界を制す」。これが21世紀の資源争奪戦の現実である。狭い国土に人が密集しているが、石油などエネルギー資源の乏しい国。必要なエネルギー源の9割を...

2019年08月19日 10:39

【政界インサイダー情報】カジノ管理委員会の人事等、設立の準備が進むNEW!

 政府は今秋の臨時国会において、内閣府大臣官房の指揮下、カジノ管理委員会設立に向けた人事案を提出するとのことで、来年度の具体的な実行に向け、着々と準備が整っている。全...

2019年08月19日 10:05

HIS、ユニゾHDの敵対的買収に発展~それぞれが抱える表に出せない裏事情(前)NEW!

 ホテル事業などを手がけるユニゾホールディングス(HD)は8月6日、旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が実施中のTOB(株式公開買い付け)に対し、取締役会として反...

2019年08月19日 09:50

香港、マカオ、深圳 視察報告 「世界一港湾都市」奪取計画の現在地(後)NEW!

 香港国際空港のマカオ行きバスターミナルは大陸(珠海市)方面行の団体客が溢れ、長時間の待機を余儀なくされた。この際、我々日本人には何も言わない職員が、中国人団体客に対...

pagetop