2024年12月11日( 水 )

【春日市長選】市民の皆さん、今の市政でよいのですか?

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7期目の出馬表明

春日市役所 イメージ    4月の統一地方選挙まで残すところ3カ月となった。複数の自治体で市長選挙が行われるが、その1つ、福岡都市圏においては春日市長選挙が行われる。

 春日市長は、現職の井上澄和氏(71)が6期務めているが、昨年12月議会において7期目を目指すことを表明した。福岡県内の首長のなかでは在任期間が一番長い。

 議会での答弁において井上氏は、「市制50周年を1つの区切りとも考えた」としながらも、「次の4年間も市政運営の責任をもつことが、まちづくりに協力された皆さまのご期待に応える道、との結論に達した」と述べた。

 だが7期目の出馬に対しては、議会内外で、長すぎることや、市政運営の在り方に疑問の声も聞かれる。

 井上氏は、大学時代から、山崎拓衆議院議員の事務所を手伝い、卒業後、同議員の秘書を務めた。県議3期を経て、1999年4月に春日市長に初当選。以来、6期24年務めている。前回2019年の市長選では、井上氏と元市議の近藤幸恵氏による一騎打ちであったが、井上氏が2万4,482票、近藤氏が1万2,560票で、井上氏の圧勝に終わった。

 春日市は、昨年4月1日、1972年の市制施行からちょうど50年を迎えた。現在の人口は、約11万人で福岡県内では、6番目に多い。福岡市中心部から約10㎞という近さから、福岡市のベッドタウンとして発展。その利便性の高さから、子育て世代の転入が多い。

 どこでもそうだが、新住民が多い自治体は、先頃市議選が行われた福津市がそうであるように議会も執行部の追認では終わらない。議会から厳しい批判が巻き起こるものだ。ところが、どうしたわけか春日市は、7期目を目指す現職の力が強い。

自治体も政権交代が必要

 昨年12月議会において次のような質問が行われた。

「巷には弊害があるかのような話があるが、春日市のようにしっかりとしたまちづくりが実現しているのは、井上市長の在任期間が長く、安定した行政運営が叶っているからこそではないでしょうか。」

 現職を褒めちぎる内容だ。上手に議会を丸め込む術は、うまいらしい。もちろん、01年から実施している「出前トーク『市長と語る』」など市民との対話は行われてきた。強いリーダーシップでリードするのは必ずしも悪いとはいえないが、独善的運営になるなど多選の弊害は当然出てくる。在任期間が長くなるほどトップに対して周囲はものがいえなくなる。ナアナア、マアマアで物事が進む農村地域ならまだしも、福岡都市圏でこの状況ははたしてよいものか。本来、二元代表制である議会がしっかりと首長、執行部をチェックすべきであり、自治体も政権交代がなければならない。

 12月議会閉会の翌20日、新人で市議の川崎英彦氏(60)が、無所属で立候補すると表明した。川崎氏は15年の市議選で初当選し、2期目。福岡市出身で小学5年から高校まで春日市で過ごした。現在、デザイン事務所を経営している。氏はSNSにおいて「私が民主主義を意識し、対話と多様性の尊重が幸せの根底にあることを教えてくれたのがデンマーク」であるとして、多様性の理解と尊重を訴える。

 春日市長選は同市議選とともに4月16日告示、23日投開票で実施される。これから春日市の動きから目が離せなくなってきた。

【近藤 将勝】

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