2024年05月14日( 火 )

【県議が語る】筑紫エリア未来のまちづくり構想(前)

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福岡県議会議員 原竹 岩海 氏

 福岡県議会議員で、立憲民主党、民主県政県議団の原竹岩海氏は現在5期目。選出区の筑紫野市は1月22日に市長選挙の投開票があり、4月には統一地方選挙における県議会議員選挙が実施される。市政と県政が新たな局面を迎えつつあるなか、原竹氏に今後の筑紫野市のまちづくりと、未来を見据えた構想について語ってもらった。

(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)

政治活動の原点、安心安全な街

福岡県議会議員 原竹 岩海 氏
福岡県議会議員 原竹 岩海 氏

    ──市民のための安心安全のまちづくりが、政治活動の原点にあるとうかがっています。

 原竹 私が県議会議員に立候補したそもそもの経緯に、市民生活の安心安全に対する危機感がありました。私が県議会議員に初当選したのは2003年です。筑紫野市には県営山神ダムがあり、筑紫野市、太宰府市、小郡市などに水を供給する周辺住民にとっての命の水ガメです。

 このダムの1.2kmほど上流に、産業廃棄物処分場があります。ここで処分されているのは安定型産業廃棄物といって、有害物質や有機物などが含まれておらず、また雨水などに晒されても変化しない、生活環境の保全に支障をおよぼす恐れが少ない産業廃棄物でした。しかし周辺住民からは、「変な臭いがする」とか「煙が出ている」「変色した水が周囲の田んぼに流れてきた」などの情報が寄せられていました。

 私は当時、筑紫野市議をしておりまして、市民らの不安を訴える声を聴き、県に対して市民の安全を考慮した対策を講じるように要請を行うなどしていました。しかし、県は処理場の設置は手続き上問題ないと回答し、また、ダムを管理する県の担当部署も水道水としての検査で法令上の基準をクリアしており問題ないと説明していました。

 ところが1999年、産業廃棄物処分場のなかで硫化水素ガスが発生して従業員3名が亡くなるという事故が発生しました。筑紫野市議会は産業廃棄物対策特別委員会を立ち上げ、私が委員長に就任しました。市民とともに一斉行動を起こして、県と団体交渉を行いました。

 2003年、産廃問題の解決を訴えて県議会議員に立候補し、初当選しました。私は県議会で、将来にわたる山神ダムの水質に不安があるとして、監督指導の立場にある県の責任を訴えてきました。そのため、先輩議員からは「君は産廃のことしか訴えないのか」と叱られたこともあります。しかし、市民の命の水ガメであるダムは、市民生活の安心安全の基礎であり、何よりも大切なものです。私のまちづくりに対する基本的な思いの原点がここにあります。

筑紫野市制50年、まちづくりの課題とは

 ──1月22日には筑紫野市長選の投開票、4月には県議選を控えています(取材日:1月14日)。筑紫野市は昨年市制50周年を迎えました。筑紫野市の今後の市政を考えるのに良い機会だと思います。市のまちづくりには、どのような課題があると思われますか。

 原竹 筑紫野市長選挙には現職と新人合わせて3名が立候補しています。誰が当選しても、新しい市政と連携して県政とのパイプ役をはたす人間がとても重要になってきます。それが私の役割だと思っています。また県議として、筑紫野市にとどまらず、周辺自治体や県の立場に立って、広い視野で地域行政に取り組むことができます。筑紫野市がこれからさらに大きく発展していくために、これはとても重要なことです。

 筑紫野市は1955年の昭和の大合併で前身となる筑紫野町ができ、その当時は人口3万人程度、市が発足した72年は人口4万人程度でした。それが今や、人口10万人を超える都市にまで成長しました。しかし、急激に増えた人口と都市の規模に対して、それにふさわしい道路等の整備が追い付いていないというのが現状です。企業が整備した道路と旧道を無理やりくっつけたり、河川の整備が追い付かないままなので、大雨になると側溝によって集められた水が一時に大量流入して河川があふれるなどの問題が発生しました。

 2014年8月、豪雨によって市内の二級河川高尾川が氾濫して、商店街を含む多くの家屋が浸水被害を受けました。その対策として高尾川に地下河川トンネルを建設しました。本来であればもっと早いうちに都市計画として河川整備を進めるべきでしたが、都市計画が後手後手になったために、地上工事で対応する余地がなく、地下トンネルという大変な工事になったため、78億円という膨大な費用が掛かりました。JR二日市駅の西口が昨年12月にやっと完成しましたが、これも都市計画が遅れた結果です。

 とくに交通に関する都市計画には、大きな課題があります。大まかに言って、南北の交通はある程度整っていますが、東西の交通には大きな問題が発生しています。東西の交通をスムーズにするためには、どうしても西鉄線路の高架化が必要です。

西鉄二日市駅の空中写真(出典:国土地理院ウェブサイト)
西鉄二日市駅の空中写真(出典:国土地理院ウェブサイト) 

 現在、高架(連続立体交差)工事が完成しているのは、昨年8月に高架への切り替えが完了した大野城市の下大利駅までです。筑紫野市にある西鉄二日市駅は1日当たり2万人前後の乗降客がいるにもかかわらず、高架化が手付かずです。ラッシュアワー時には遮断機が下りっぱなしで、道路も混雑し、通勤客や学生が慌てて遮断機をくぐるなどという危ない行為も発生しています。

 しかし、筑紫野市の高架化を実現するには、まず太宰府市を高架化しなければなりません。これは市のみ、県のみだけでは取り組むことができず、市と県そして西鉄の間を緊密に調整して、さらに国に働き掛けることが必要です。また、市民の理解を得なければなりません。そのために、パイプ役としての役割が非常に重要になってきます。

(つづく)

【文・構成:寺村 朋輝】


<プロフィール>
原竹  岩海
(はらたけ・いわみ)
1953年7月筑紫野市生まれ。79年久留米大学商学部卒、91年筑紫野市議会議員に当選(3期12年)、2003年福岡県議会議員に当選(現在5期目)。15~16年県議会副議長。立憲民主党。民主県政県議団。
URL:http://haratake.jp/index.php

(後)

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