財務省が8日に公表した2022年の国際収支速報によると、海外との取引を示す経常収支は前年比47.0%減の大幅減となる11兆4,432億円の黒字となった。3兆9,215億円の黒字だった14年以来、8年ぶりの低水準を記録した。
経常収支の内訳としては、貿易収支は7年ぶりの赤字となる15兆7,808億円の赤字。ロシアのウクライナ侵攻による資源価格の上昇や円安などにより輸入額が114兆4,711億円(前年42・0%増)と過去最大、輸出額の98兆6,903億円(同19・9%増)を大きく上回った。一方で、第一次所得収支(対外金融債権・債務から生じる利子・配当金などの収支)は35兆3,087億円と過去最大の黒字になった。受取が49兆9,306億円(同31.2%増)、支払いが14兆6,219億円(同27.5%増)。
このように、貿易赤字が拡大しても、現時点では第一次所得収支の大幅な黒字により、経常収支の黒字を確保できている。日本には、かつては強い製造業を抱え、輸出で稼ぐというイメージがあったが、現在は輸出よりも投資で稼ぐ姿へと大きく変わった。ただ、経常収支の黒字は小さくなっており、昨年貿易赤字の拡大をもたらしたロシアのウクライナ侵攻、円安という状況に変化はなく、今後も経常収支の黒字を維持できるとは限らない。
【茅野 雅弘】
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