2024年04月16日( 火 )

日本に対するイタリアの強い関心 日伊の架け橋としてのディサントの役割(後)

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ディサント(株)代表取締役
日伊経済連合会会長
ディサント・ダニエレ 氏

 日本・イタリアに特化した国際事業のコンサルティングを行うディサント(株)代表取締役社長のディサント・ダニエレ氏。日伊経済連合会会長として、日伊間の全面的な経済交流の促進にも携わっている。ディサント氏は日本在住17年、日本で会社を設立して13年、世界がコロナ禍を乗り越えつつある今日、ディサント社のビジネスも新たな段階に入り、ローマ事務所を開設する予定であるという。ディサント氏に話を聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス代表取締役社長 児玉 直)

今後の安全保障、食料、エネルギー

    ──従来、安全保障というと軍事的な側面でばかり考えてきました。日本は戦後、経済発展を重視して食料生産を守ることの大切さを忘れてしまいましたが、フランスでもイタリアでも、都市にほど近い郊外において田園が広がっています。これはどういうことなのかなと考えると、やはりヨーロッパという国は歴史的に安全保障をめぐる危機感がとても強く、食料の重要性を日本より深く理解しているからではと気づきました。国の豊かさを確保するための安全保障とは、軍事力、食料、エネルギーそれぞれを自身で確保しなければならないということですね。

ディサント氏(中央)、2018年10月の日伊フォーラムにて。
ディサント氏(中央)、
2018年10月の日伊フォーラムにて。

    ディサント イタリアの過去の歴史からみて、平和な暮らしが50年間続いたのはとても珍しいことです。今では平和になりましたが、しかし、これだけ緊密につながった世界では、どこか自分が知らないところで紛争が起こっても、私たちの生活に大きく影響を与えることを、コロナによるロックダウンや、ウクライナ戦争によって痛感しました。生活を守るためにはいろいろな側面から安全保障の基盤を整えていくことがとても重要であると、世界中の人が再認識したのです。

 イタリアでは、たとえば、コロナの大流行が起きたときに、国内でマスクがあっという間に消えてしまい、急いで生産拠点を国内につくらねばならなくなりました。イタリアは先進国でありながら酸素吸入器が足りなかったため、残念ながら多くの人が亡くなりました、イタリアは肥料原料の多くをロシアから輸入していたため、戦争の勃発によって、農作物の生産コストが急激に上がってしまいました。そのような事態に直面して初めて、海外からの供給に頼りすぎていたことに気づいたのです。

 もちろん、すべてのものを100%自給することは不可能です。しかし、政治的に安定している国や友好国と助け合うことによって、将来のリスクを低くすることができます。安全保障を念頭に置いた国同士の経済関係が、今後の国際社会ではとても重要になっていきます。それとともに、それぞれの国内でできるだけ生産を賄うための技術的な移転、技術交流を並行して行うことが安全保障上のリスクを防ぐために有効であると考えています。半導体製造工場が日本に回帰していることもそうした対応の一環です。

 エネルギーについても、第2次大戦後、1960年代、70年代の高度成長期は大量にものをつくるために多くのエネルギーが必要で、それは主に化石燃料でした。これからは再生エネルギーを中心に電力をまかなうことが重要ですが、それは環境問題の側面のみならず、他国に頼らずに自国内でエネルギーを賄えるという点で、安全保障上の側面でもとても重要になります。

ディサント社がはたす役割

 ──御社が今後イタリアに拠点を移し、日本とイタリアのビジネスの発展にさらに大きな貢献をしていくにあたって、今後の方向性と決意をお聞かせください。

 ディサント 誰か1人が全体像を決めてその通りに進めるということは不可能で、いろいろな業界の人たちがそれぞれに資金や技術を提供して協力することが求められます。今日のイタリアは、経済復興のためにさまざまなインフラを整備していく必要があります。現在、EUの豊富な補助金制度を使って、決められた期限までに投資を実施しようという意欲にあふれています。しかし、それをビジネスチャンスと捉えて、イタリアと日本双方をよく見ている人はほとんどいません。私たちはいろいろなチャンネルを使い、イタリアが求める技術について、それを提供する日本企業とイタリア側との間を取り持ちます。

 従来日本企業にとって難しかった点は、海外のそれぞれの地域でどのような需要があり、どのような手続きが必要であるかを的確に知ることでした。私たちは、お互いの国が求めているものと提供できるものについて、それぞれの国へ適切に声を届ける手伝いをしますイタリアと日本それぞれにとって価値のあるビジネスとなるように、ビジネスの最初のとっかかりの部分で存分に力を尽くすことができると考えています。

 現代人はとてもエゴイストです。企業はこれまで翌年の売上など短期的な視野でものごとを考えてきており、長くてせいぜい2,3年のうちに投資を回収できるかということで頭がいっぱいだったと思います。しかし、これから必要とされるのは、20年後、30年度、次の世代のためにどのようなものを残すことができるかということです。そのことを中心にビジネスを考えていかなければならない時代になりました。

 ──ぜひ、イタリアへの経済視察団を組織して、見に行きたいと考えています。日伊経済連合会のパンフレットには多くの企業や政財界の関係者が名を連ねており、ディサント代表のお人柄もあって、日本とイタリアの経済交流に期待する企業が年々増え、新しいビジネスが展開する段階にきていると感じます。

 ディサント ありがとうございます。私のビジネスだけでなく、日本とイタリアの経済交流や日伊経済連合会の活動に興味をもっていただいた方には、ぜひ、連合会の仲間に加わってほしいと願っています。

(了)

【文・構成:寺村 朋輝】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:ディサント・ダニエレ
所在地:福岡県大牟田市汐屋町1
設 立:2010年3月
資本金:800万円
TEL:0944-85-7733
URL:https://disantocorp.com


<プロフィール>
Daniele Di Santo
(ディサント・ダニエレ)
1979年10月、イタリア・ローマ出身。2010年3月にディサント(株)を設立し、代表取締役に就任。イタリアと日本の経済交流の活性化を目指し、相互の経済・文化などの関係や交流を強化・促進する活動に従事している。13年から「西日本国際ビジネスフォーラム(現・日伊フォーラム)」を毎年開催しているほか、15年に「日伊経済連合会」を立ち上げ、会長に就任した。

(前)

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