2024年04月16日( 火 )

昨今のJR九州のダイヤ改正などの問題点(前)

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運輸評論家 堀内 重人

 JR九州では、西九州新幹線が開業した2022年9月23日と、23年3月18日にダイヤ改正を実施した。その結果、福岡地区・北九州地区で運転本数の削減や編成両数の減少などにより「地域の利便性が悪化した」という意見が出るようになった。23年3月のダイヤ改正時には混雑の緩和に向けた増結は実施されず、座席を撤去することで立ち席スペースを増やす方法で対応した。
 一方、4月1日に運輸収入を改善するため、新幹線・在来線特急のグリーン料金の大幅値上げなど実施した。JR九州のダイヤ改正や料金値上げがもたらしている、利用者のニーズとの乖離状況について言及したい。

サービスの低下が始まった2022年9月のダイヤ改正

西九州新幹線 イメージ    JR九州は、2022年9月23日に西九州新幹線の開業にともない、九州全土でダイヤ改正が実施された。その際、鹿児島本線などでは、通勤・通学の時間帯で電車が減っただけでなく、終電の時間が早まるなどした。それ以外に、鹿児島本線の北九州・福岡エリアの小倉~久留米・大牟田間では、午前10時~午後4時の日中時間帯に、1時間に1本の割合で快速が運転されていた。それが同ダイヤ改正で中止された。また区間快速も、快速運転の区間が縮小されるなど、合理化を中心としたダイヤ改正であった。

 このダイヤ改正では、鹿児島本線の福岡都市圏であっても、ラッシュ時でJR九州が発足以来の大規模な減便が実施された。それだけでなく、4両編成の電車が3両編成に編成が短くなり、かつワンマン運転が拡大した。そして最終電車の繰り上げが実施されるなど、コスト削減を目的とした、減量化ダイヤとなった。

 その結果、平日の朝夕のラッシュ時は、混雑が常態化することとなり、博多駅は午後9時過ぎまで、多くの列車で混雑が続くようになったため、利用者からの苦情が多く寄せられるようになった。

 これに対しJR九州は、「混雑はない方が良いが、鉄道事業の赤字が続けば鉄道事業のサービスを従来通りに提供できなくなる。コロナ禍で、鉄道事業以外の関連事業も苦しく、内部補助で鉄道事業の損失を補てんする考えは成り立たなくなった。総合的に判断した結果として、あのようなダイヤになった」と理解を求めている。

 福岡県内の自治体などでつくる協議会からは、「利便性が悪化し、地域産業の振興や住民の日常生活に悪影響をおよぼす」といった意見が出るようになった。とくにリタイアした高齢者のなかには、福岡地区や北九州地区に住居を構える必要がない場合、生活しやすい首都圏や関西圏、名古屋地区などへの転出のきっかけになるのではないかと懸念されている。人口減少社会に突入した今日では、一度、人口の転出が始まると、元通りに戻ることは非常に困難である。

 福岡県の服部知事は、「今後、協議会としてJR九州に対して実際の利用状況に関する資料の提出を求めるとともに、沿線自治体などの意見を聞きながら必要な働き掛けを行いたい」と述べるなど、JR九州の対応を問題視しつつ、行政としても対応する旨を表明している。

 筆者も一連のダイヤ改正については、福岡県知事がJR九州に対しサービス改善を求める姿勢を示すなど、極めて異例であり、問題が深刻であると考えている。

2023年3月のダイヤ改正

 九州新幹線の一部の時間帯では、等間隔で運転されるパターンダイヤ化が実施され、時刻が覚えやすくなって利便性の向上が図られた。また「つばめ」の運転間隔や一部の列車では、時刻変更が実施され、博多駅で「のぞみ」と「つばめ」の乗り換えが便利になった。さらに「みずほ600号」の鹿児島中央駅の発車時刻を6時35分に繰り上げたことで、博多・本州方面への到着が従来のダイヤと比べて約30分早くなった。

 だが「つばめ343号」の運行が取り止めとなったことにより、博多から熊本方面への最終列車の時刻が繰り上げられ、また、熊本駅を発車する鹿児島本線の八代方面や、豊肥本線の水前寺方面へ向かう普通列車も、最終列車の時刻が繰り上げとなるなど、こちらは利便性が低下した。

 従来、福岡地区のダイヤ改正では、朝・夕のラッシュ時の列車ダイヤの順序や運行区間が変更される程度であったが、2022年9月23日のダイヤ改正では、全体的に混雑が激化するようになる一方で、それを解決するための列車の増結などは実施されていない。取られた対策としては、慢性的な混雑や、混雑による列車の遅延を緩和させるため、一部の座席を撤去して立客スペースを増やすなどによる緩和措置に限られた。そうなると座席数が減少するため、着席の機会が減少することになり、当然、サービスのダウンと見なさざるを得ない。

 一部利便性が向上したのは、福岡地区の在来線特急で「ソニック」の赤間駅への停車が大幅に増加するようになった点のみである。

(つづく)

(後)

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