インフラの復旧と再整備進め、豊かな資源で賑わい創出へ(前)
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久留米市長 原口 新五 氏
住みよいまちを実現するために
──久留米市の人口は、2005年の1市4町での合併以降、30万人超で推移しています。子育て支援と移住者支援、どちらの効果が大きいと考えられますか。
原口 どちらか片方の効果というより、相乗効果の発揮によるものだと考えています。市ではお子さまが医療機関に入院・通院した場合の医療費の一部を市が助成する子ども医療制度の拡充をこれまでも図ってきましたが、10月診療分からは、未就学児までの入院・通院と、小中学生の入院にかかる医療費を独自に無償化します。久留米市は病院数、医師数ともに充実しており、この優れた医療環境はファミリー層の定住を促すうえで、大きな強みになっています。
移住者支援については、最大30万円の補助金を交付する、くるめ暮らし・移住ファミリー支援事業などを展開しています。新たな夫婦が市で働き、安心して子どもを産み育てていけるようにするためにも、市としては可能な範囲での支援拡充、産業団地の整備や都市開発にかかる規制緩和などを通じた働く場の提供を、引き続き行っていきます。
また、ベトナムやフィリピンなど、外国人技能実習生を中心に、海外からの転入者も増加傾向で推移しています。背景には彼らのコミュニティ内における、口コミ効果もあると考えています。農業や建設、医療・福祉事業に従事するなかで感じる職場環境への満足度や、久留米市内の生活利便性などが母国の仲間たちに共有され、その結果として、毎年一定数の技能実習生の実習の場として久留米市が選ばれている面もあるのではないかと感じています。
──市のまちづくりに欠かせないのが地域防災への視点、とくに集中豪雨への対策です。
原口 令和5年7月の大雨で被災したインフラ復旧に約35.6億円、農業者支援に約7.8億円、そのほか災害対応に約4.4億円、合計約47.8億円を災害対応のための補正予算として提出しています。応急復旧のための予備費と専決処分を合わせた災害対応の予算総額は、約89.3億円になっています。市はこれまでも貯留施設整備や河川の改修などを行い、災害に備えてきました。筑後川流域の治水推進については、筑後川河川事務所とも協力しながら進めているところです。昭和28年の洪水発生以降も、筑後川流域では水害被害が出ています。筑後川における本格的な改修工事の開始から100周年を迎えるなか、たとえば堤防決壊時に甚大な被害が想定される箇所を絞り、そこから優先して工事に取り組むなど、効率化を図ることも選択肢として考えていく必要があると思っています。集中豪雨が頻発化するなか、被害を軽減するためにも対応にはスピード感が求められています。
また、久留米市には耳納連山もあり、土石流など土砂災害への対策も不可欠です。近隣住民のなかには災害発生時の避難や、避難後の長期にわたる避難所生活が困難という人もおられます。ハード対策の推進は、市民の安心・安全な暮らしに直結しますので、これからも重要課題として取り組んでいきます。
(つづく)
【聞き手:内山 義之/文・構成:代 源太朗】
<プロフィール>
原口 新五(はらぐち・しんご)
1960年4月、久留米市出身。福岡教育大学附属久留米小学校を経て久留米市立諏訪中学校卒、柳川商業高等学校卒。83年3月福岡大学体育学部中退。89年11月久留米市議会議員(3期9年4カ月)、99年4月に辞職。2003年5月久留米市議会議員(5期18年7カ月)、09年6月久留米市議会副議長(2年)、11年5月同議長(4年)、2022年1月久留米市長就任。月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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