2024年04月29日( 月 )

アビスパ、古豪鹿島を寄せつけずドロー 福岡0-0鹿島

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 サッカーJ1リーグアビスパ福岡は9月30日、ホームのベスト電器スタジアムに鹿島アントラーズを迎えて第29節の試合を行った。

 名門鹿島アントラーズは、試合前の時点で5位。ルヴァンカップ・天皇杯はすでに敗退しており、ACL出場権獲得を目指す上では勝ち続けるしかない土壇場の状況だ。対するアビスパはシーズンの目標だった8位をキープし、ルヴァンカップ・天皇杯の双方で準決勝に進出している。クラブの歴史に新しいページを刻む、新たなチャレンジを続けている。

 アビスパのスタメンからはMF井手口陽介が外れ、代わって起用されたのは今シーズンリーグ戦初先発となるMF平塚悠知。「出場しているメンバーがベストメンバー」という長谷部茂利監督の言葉にどう応えるのか、注目が集まった。

 試合は鹿島がボールを保持し、アビスパが守備で対抗する図式でスタート。鹿島のMFディエゴ・ピトゥカ、MF佐野海舟が中盤からゲームを組み立て、MF樋口雄太、MF 藤井智也が両サイドから攻撃を仕掛けていく。アビスパはDF奈良竜樹、DFドウグラス・グローリ、DF宮大樹の最終ラインが高い集中力で鹿島の攻撃を弾き返し、中盤のMF前寛之、MF平塚を経由した鋭いカウンターを見せる。FW山岸祐也、FW金森健志、FW紺野和也はスピードあふれる仕掛けで鹿島ゴールに迫る。

前半、相手DFからボールを奪って一気に攻め上がるFW山岸
前半、相手DFからボールを奪って一気に攻め上がるFW山岸

 33分、FW山岸が相手DFの隙を突いてボールを奪い、最後はFW紺野がループシュートを試みる。これは鹿島の元日本代表DF植田直通がかろうじて掻き出し、ゴールには至らない。さらに39分にはFW紺野が得意の左足シュートを放つが、これは惜しくも上に外れる。前半は0-0のまま折り返した。

 後半に入ると、両ベンチが動き出す。アビスパは前半でイエローカードをもらったDFグローリに代えてDF田代雅也、鹿島は長身で空中戦に優れるFW垣田裕暉を投入。試合は両チームの選手が激しくぶつかり合う肉弾戦の様相を呈してきた。

後半、敵陣に鋭く切り込むFW金森
後半、敵陣に鋭く切り込むFW金森

 鹿島で目立っていたのは、FW鈴木優磨。センターフォワードのポジションながら、あるときはサイドに開いてボールを受け、またあるときは中盤まで降りてパスをさばく。神出鬼没のポジショニングで、局面での数的優位をつくり出すプレーはさすがといえた。だが自由にポジションを動くことで、結果的に前線でゴールに絡む機会が少なくなったのはアビスパにとって幸運だった。

 66分にFWウェリントンが投入されると、試合の流れははっきりとアビスパに傾く。ウェリントンをターゲットにボールを集め、こぼれ球はMF前、MF平塚が回収して二次攻撃を繰り出す。69分にはコーナーキックにウェリントンが頭で合わせるが、これは惜しくも枠を外れる。73分、鹿島はMFピトゥカのFKからFW鈴木優磨が頭で折り返し、DF昌子源が頭から飛び込むが、これもゴールには至らない。試合はこのまま0-0の引き分けで終了した。

 試合後の会見で、長谷部監督が「(平塚は)いい仕事をしたと思います」と讃えたように、今期出番の少なかったMF平塚が古豪・鹿島相手に見せたすばらしいプレーはチームを大いに力づけた。平塚は冷静なボールさばきとパスで攻守を支え、守備の面でも鹿島の強力なアタッカー陣に決定的な仕事をさせなかった。まさに起用に応える活躍だったといえるだろう。

後半、相手ペナルティエリア内で攻撃参加するMF平塚
後半、相手ペナルティエリア内で攻撃参加するMF平塚

 それにしても、アビスパは本当に強くなった。カメラのファインダー越しにプレーを見ていても、アビスパの選手たちは鹿島の選手たちに対してまったく気後れすることなく、互角以上に戦っているのがハッキリと伝わってくる。J1に昇格した2021年の開幕戦で、名古屋グランパスのスピードと強度に翻弄されていたのが遠い昔のことのようだ。

 アビスパの次戦は8日(日)の天皇杯準決勝・川崎フロンターレ戦(川崎・等々力競技場)。11日(水)にはルヴァンカップ準決勝第1戦・名古屋グランパス戦(ベスト電器スタジアム)、15日(日)には同第2戦(愛知・豊田スタジアム)と、カップ戦の準決勝が控えている。天皇杯・ルヴァンカップともに、勝てば決勝進出。決勝の舞台は東京オリンピックが行われた、あの国立競技場だ。

 アビスパが夢の国立に立てるかどうか、まさに試練の1週間が始まる。

【深水 央】

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