2024年05月17日( 金 )

おかしなことだらけのコロナ禍 未来を担う若者のために忖度政治を克服せよ(後)

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看護師YouTuber 野中 しんすけ 氏

 2019年12月8日に中国武漢市で発見された新型コロナウイルスは、瞬く間に世界中に広がった。あれから3年以上を経た23年5月8日、日本ではこれが指定感染症の5類へと引き下げられてインフルエンザウイルスと同じ扱いとなり、“形式的”には収拾したことになっている。国内では感染対策を緩和し始める人が増える一方、規模は縮小しているものの感染状況はいまだ頻繁に報道されている。看護師としてコロナの現場をその目でつぶさに目撃し、そのうえで世の中のおかしさを訴え続けてきた野中しんすけ氏に、当時から訴え続けてきたこと、そして、今まさに伝えるべきことをつづってもらった。

コロナで費やされた多くの無駄 そのツケは誰が負う?!

 誤解しないでいただきたいが、私はなにも高齢者が悪いと言っているわけではない。このような当たり前のことについて、医師や現場の医療従事者が声を挙げなかったことに、強い違和感を覚えるのである。私は、コロナ禍で若者に対してネガティブなイメージを植え付けたのは、分科会をはじめ、メディアで信憑性のないことを話していた医師や医療界の専門家と呼ばれていた人たちの影響が大きいと思っている。もちろん、現場で働いていた私も例外ではない。しっかりと声を挙げられなかったことに、責任を感じている。

 だからこそ、コロナ対策が本当に妥当であったか否か、今一度振り返るべきだと考えているのである。感染者を受け入れる病院が大変だ、医療体制が逼迫している、医療従事者はみな疲弊していると、メディアは連日報じてきたが、感染が増えている時期はどの波もピークまで約1カ月半と短期間であるということを、ほとんどの人は知らない。逆に、そのような病院が、それこそ19年まで赤字で経常損失ばかりを積み上げていた病院さえも、コロナを奇貨に大きな利益を上げている。マイナス6億円以上であったのに、たった3年で22億円の黒字に変わった病院もある。そこまでではないにせよ、マイナスからプラスへ転じた病院は驚くほど多い。

 そのお金は当然、これから私たちが税金というかたちで支払っていくことになる。経済対策を含め、コロナ禍で300兆円近い予算が投じられている。政府はこれから、それらを埋めていく作業を着々と進めていくのだろう。すでにいくつもの増税案が出されており、怒りは禁じえないものの、この3年間の状況を客観的に見てきた私としては、仕方のない部分もあると思っているし、覚悟をしているのも事実である。

 ただ1つだけ、注視したいことは、コロナ禍で「高齢者のために」と言い続けてきた政府が、これから若者のために何をしてくれるのかということである。これからの日本を背負ってくれる若者たちは、学校生活が制限を受けたせいで青春の貴重な時間と機会を奪われ、たくさんの辛い思いをしてきた。先にも述べたように、いわれなく悪者扱いもされてきた。「高齢者のためにならない行動をするな」「高齢者のためにワクチンを打て」などなどと、「高齢者のために」が、ある意味キーワードになっていた。では、これから「若者のために」何をしてくれるのだろうか。コロナ禍で使った莫大なお金のほとんどは、学生や若者を含む現役世代がこれから背負っていくことになるのだが・・・。

 医療界を中心とした専門家たちも、このキーワードを何度も口にしていた。「日本では老若男女、みんなで暮らしているのだから、協力しなきゃ」のような、もっともらしい言い分を振り回して、若者に我慢を強いてきたわけだ。これから先を想像するに、若者や現役世代のためになる政策は期待できないと思っている私としては、政府がいったい何をしてくれるのか注視しているところである。

国民全体の利益を考える政党の躍進を願って

 日本が行ってきたコロナ対策がすべてダメだったとは言わない。しかし、過剰な感染対策、過度な制限、世界的に見ても長すぎる対策期間をみるにつけ、医療業界に忖度するがゆえの無駄も多かったと言わざるを得ない。今回のコロナ禍を医療の分野だけでなく多方面の専門家も交えて総括し、改善点を抽出したうえで、万一またパンデミックが起こっても客観的に判断し対策をとっていけるよう、ぜひとも準備していただきたいと思っている。そのためには、多角的に物事を考えることのできる専門家を起用できる政治家が、これからの時代には必要となってくる。

 多かれ少なかれどこか特定の団体と利害関係をもつような党が、政府として政策を出し続ける限り、今後もあからさまな忖度が発生し続ける可能性は大いに考えられる。今回のように「国民のためだ」という理由が持ち出されてきたとしても、それを建前として忖度している相手(団体)のいうことばかりを鵜呑みにしてしまう政府と、それで利益を得る団体のツケを払わされるのは、紛れもなく私たち国民、とくに現役世代であるということを、常に念頭に置いておかねばならない。

 このことをふまえ、これからの日本の政治は、どこかの企業(団体)・組合・宗教などと癒着している政党ではなく、どの組織にも忖度することなく状況を冷静に判断し続けられる政党こそが、政府・与党として活躍していく体制になるべきと考える。さもなければ、今後もこの3年と同じようなことが繰り返されるであろう。現状のように、忖度と保身ばかりの政治家任せの政治が続く限り、日本は衰退の一途をたどっていくのは目に見えている。

 日本の未来は、おかしいことは「おかしい」とはっきりいえるような、何より、どこの業界、組合、宗教にも忖度しないような政党が国民によって選ばれ、躍進していけるか否かにかかっている。

(了)


<プロフィール>
野中 しんすけ
(のなか・しんすけ)
野中しんすけ1986年生まれ。大分市出身。看護師YouTuber。宗像看護専門学校卒業後、大分市医師会立アルメイダ病院に看護師として就職(2017年に退職)。16年、健康や予防情報を独自の視点から伝えるYouTube配信を開始。【感想・憶測ではなくデータを基に視聴者にわかりやすく伝える】スタイルが好評を博し、21年4月にチャンネル登録者数1万人、22年4月に10万人を達成する。22年参議院選挙(福岡県)に参政党公認候補として出馬、7万2,263票獲得。地元への想いから23年大分県議選に出馬、5,214票獲得。23年7月、参政党大分支部県連会長に就任。次期衆議院選挙同党公認候補。

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