公費による「葬祭扶助」件数と金額が過去最多に
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身寄りがなく引き取り手がない遺骨、いわゆる「無縁仏(遺骨)」の数が増えているといわれる。総務省によると、2021年10月末時点で各自治体などによって、約6万柱が保管されているという。そうした状況を受け、国や自治体が葬祭費を負担する「葬祭扶助」の件数と費用負担も増えている。
『朝日新聞』(10月23日付け)の報道によると、22年度の葬祭扶助件数について、全国で5万2,561件(速報値)となり、過去最高にのぼったとされている。前年度の4万8,789件から約3,800件増えたという。
葬祭扶助は国が生活保護法に基づき、生活困窮者に対して設けている葬儀支援制度。主に資産がない生活保護受給者に対するものだが、故人に身寄りがない、無縁仏の場合にも家主などの第三者が手続きを行うことで、行政が費用を負担するものだ。
支出額は都市部では1件約21万円と規定されているといい、報道によると22年度の葬祭扶助に関する国・自治体の支出総額は約110億円に上るとしている。過去最高となったのは、高齢化のほか、孤独死の増加、コロナ禍による経済的困窮などが背景にある。
無縁仏は、引き取り手のない遺骨のことであり、身元不明者だけでなく、身元が判明している場合でも、遺族が葬儀や埋葬を拒否したり、所在が不明になったりして引き取り手がないものも含める。それらは各自治体で管理され、その数は年々増加している。
高齢社会を追いかけてくるのは、いわゆる「多死社会」である。高齢化がますます進行するなか、社会はさらなる国民の死を受け入れなければならない。孤独死の防止や葬儀費用の軽減、無縁遺骨の供養の在り方を見直すなど、そうした状況に対応する策を見い出さねばならない時期にきている。
【田中 直輝】
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