2024年04月29日( 月 )

これぞ王者の風格!アビスパ逆転勝ち G大阪1-2福岡

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パナソニックスタジアム吹田 イメージ    サッカーJ1リーグアビスパ福岡は11日、アウェーのパナソニックスタジアム吹田でガンバ大阪(G大阪)と第32節の試合を行った。

 リーグ戦は、この試合を含めて残り3試合。4日にルヴァン杯王者となったアビスパ福岡はリーグ戦8位ながら上位クラブとの勝ち点差はわずかで、クラブ史上最高順位(2021年・8位)の更新をかけて勝ち点を積み重ねたいところ。対するG大阪は好調だった夏場から打って変わって負けが込み、8月以降勝ち星がなく4連敗でこの一戦を迎えている。順位は14位、降格圏の18位まで勝ち点差はわずかに5となっている。

 試合は、ガンバがコントロールする状況でスタート。G大阪FW鈴木武蔵が前線から攻守に奔走し、ペースをつくっていく。アビスパの前線の要・FW山岸祐也は相手の厳しいマークを受け、ボールを収められない場面が続く。

 すると13分、G大阪のコーナーキック。入ってきたボールをMF倉田秋が頭で逆サイドにそらし、これを韓国代表DFクォン・ギョンウォンが頭でしっかりとミートして先制点を挙げる。前半はこのままG大阪のペースで進み、ハーフタイムを迎えた。

 ここで、アビスパ長谷部茂利監督が動く。後半開始から、長身でパワーのあるFWウェリントンを投入。前半相手のマークを受けて思うようにプレーできなかった山岸が一歩下がった位置で自由を得ると、アビスパの攻撃の歯車が一気に回り出す。

後半開始直後の46分、スローインからボールを保持したDF前嶋洋太が一気に中央に侵入。相手DFを引きつけながら待ち受けるMF紺野和也にパスを送ると、紺野は身体を精一杯伸ばしてダイレクトに折り返す。そこに走りこんでいたFW山岸祐也にはG大阪DF陣は誰もマークについておらず、フリーの山岸は元日本代表GK東口順昭の動きを冷静に見切り、自身今シーズン10点目となる同点ゴールを流し込んだ。

 前半の苦戦がまるで嘘だったかのように、アビスパの攻撃がG大阪ゴールを襲う。77分には、FW山岸とMF前寛之の華麗なパス交換からペナルティエリアに侵入したMF紺野が倒され、PKを獲得する。蹴るのはルヴァン杯決勝でPKを止められたFW山岸。決勝の雪辱なるか……と思われたが、これはGK東口が完璧に読み勝ち、シュートブロックに成功する。

 これで試合の流れを失わないのが、今のアビスパの強さ。81分、長谷部監督はFWルキアンを投入。ルキアンは9月のルヴァン杯準決勝第2戦で左ハムストリング肉離れを発症し、全治3カ月と診断されてブラジルに一時帰国していた。一般的に、今シーズンの試合出場が見込めない外国人選手が治療のために帰国すれば、そのまま日本に戻ってこないことが多い。しかし、ルキアンはルヴァン杯決勝の前日練習に姿を現し、プレー可能であることをアピール。決勝でのベンチ入りはならなかったものの、表彰式では元気な姿を見せていた。

 そのルキアンが試合を決めるゴールを挙げるのだから、サッカーは面白い。アディショナルタイム突入直前の89分、右サイドに上がっていたDF田代雅也が入れたクロスボールをG大阪MF倉田が頭でクリアしようとするが、これがふわりとG大阪ゴール前へ。そこに詰めていたルキアンが頭を振って合わせると、ボールはゴール右上隅に吸い込まれていった。

ルキアンはボールをユニフォームのお腹部分に入れるゴールパフォーマンス。前日、母国ブラジルにいる夫人が第3子となる女の子を出産したルキアンが、出産&復活を自らを祝福するゴールとなった。

 試合はこのまま終了。勝ったアビスパは順位こそ8位のままだが、6位鹿島アントラーズ・7位セレッソ大阪とは勝ち点差1。5位の名古屋グランパスとは勝ち点差3と、史上最高順位に食い込むのも現実的な状況となってきた。敗れたガンバ大阪は順位を1つ下げて15位。18位の横浜FCとの勝ち点差は5だが、これで5連敗と下降線をたどるチーム状況からすれば安心できる状況ではなくなってしまった。

 次戦は11月25日、ルヴァン杯決勝の相手・浦和レッズとアウェーで対戦。最終戦は12月3日、ホームのベスト電器スタジアムにサンフレッチェ広島を迎える。カップ王者となったアビスパの雄姿を、ぜひベススタで目撃しよう!

【深水央】

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