2022年07月06日( 水 )
by データ・マックス

中国産アナゴを「日本海産」と偽装(前)

 島根県は1日、中国産アナゴを国産と偽って表示、販売したとして、島根県浜田市の水産加工会社(株)中村水産(島根県浜田市、中村勝平代表)に、食品表示法に基づいて産地表示の是正と再発防止を指示したと発表した。

 県薬事衛生課によると、中村水産は少なくとも今年8月6日~31日の間に、中国産のアナゴを自社工場でかば焼き・素焼きや煮アナゴに加工。その中国産アナゴを「日本海産」「島根県産」「山陰沖産」と表示していた自社ブランドの「穴子蒲焼M1尾真空」「素焼穴子2尾P」「穴子蒲丸2尾P」などの商品に混ぜて販売していた。主に業務用として東京や大阪、広島、名古屋など県外の15社に計102ケース(計885.8kg)を販売していたが、その大半は関西の問屋だったという。
 今回の偽装が発覚するきっかけとなったのは、7月13日に農林水産省の『食品表示110番』に匿名で情報提供があったことから。連絡を受けた浜田保健所が7回(7~9月)にわたって立ち入り調査をした結果、産地の偽装が明らかになった。

 2000年代初頭から、台湾・中国産ウナギの産地偽装が後を絶たず大きな社会問題となったが、アナゴについても13年に産地偽装が表面化。岡山県瀬戸内市の「栄光水産」が韓国産のアナゴを「焼き穴子(国産朝焼き)」と偽装し、社長と妻が不正競争防止法違反で逮捕されている。
 近年、ウナギの稚魚であるシラスウナギの漁獲量が密漁や環境悪化によって激減し、価格が上昇し続けている。そのためウナギの代用品として、味も遜色なく価格が安いアナゴが脚光を浴びるようになったと言われる。
 ある魚介類の輸入業者は、「サケやマグロなど海を回遊する魚は問題ないが、中国産のウナギやアナゴなどの養殖魚は、国内産に比べ安いのは魅力だが、どんな餌を与えているかわからないので、怖くて絶対に手を出さない」と、その心情を語る。
 県の調査に対し中村水産の幹部は、「要望が高い国内産が品薄だったので、中国産を入れてしまった」と話しているが、なぜ中村水産は偽装に手を染めたのだろうか――。

(株)中村水産本社工場(島根県浜田市)<

(株)中村水産本社工場(島根県浜田市)

 2日(金)午後1時45分、中村水産本社(浜田市)を取材に訪れたが、責任者が来客中で応対できないとの返事だった。会社の駐車場で待つこと1時間余り。午後3時に再度2階事務所に赴いて面談の申し入れを行ったが、責任者不在を繰り返すばかりだった。会社を後にした30分後、携帯電話に常務からの電話が入った。「県の検査を受けており応対ができなかった。1時間半後であれば取材に応じますが」と言われたが、電話で「事実関係を確認」して取材を終えた。
 筆者が現地に赴いた目的は、自分の目で社内の雰囲気や、従業員の応対などを見聞きすることによって、「中村水産の危機管理体制」の実情を把握することであった。責任者に直接面談しても、それは単に「言い訳を聞くだけ」になるであろうし、それならば電話取材で十分だった。
 今回の面談申し込みにおける応対に、すべてが表れているような気がした。もしきちんとした応対をする会社であれば、たとえ国内産のアナゴが品不足であったにせよ、中国産のアナゴを輸入することはなかっただろうし、国内産と偽ることもしなかったと思うからだ。
 たとえ中小企業であっても、経営トップに求められているのは、「是は是、非は非」とする企業倫理感と、強いリーダーシップではないだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 
(後)

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