2024年05月04日( 土 )

正念場に差しかかった財界2位のSKグループ(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏

高金利ですべての状況が変わった

韓国 経済 イメージ    これまでSKグループの成長を牽引してきた社債発行による資金調達が、今ではむしろ負担となりつつある。金利負担の増加と、資金源であるSKハイニックスの巨額の赤字が、市場におけるSKグループへの視線を厳しくしている。たとえば、3年物の会社債の発行金利は、21年上半期までは1%台だったが、昨年末には5%半ばまで上昇した。昨年下半期からは、半導体、製油・化学などグループ内で大きな利益を上げていた事業の実績が世界経済の悪化により赤字に転落した。これにより、半導体や車載電池への莫大な投資が負担となり、グループの財務指標が急激に悪化している。22年末を基準にグループの借入金総額は100兆ウォンを上回り、主力企業の業績も悪化し、負債が急増している。特に、半導体や車載電池への今後の巨額投資が市場の注目を集めている。

 同グループは17年から車載電池、バイオ、半導体への大型投資を実施し、これが財務負担の一因となっている。負債比率も21年の118%から23年3月末には137%に上昇し、資金不足が続いている。特に半導体不況が財務悪化の主要原因で、SKハイニックスは22年上半期に70兆5,220億ウォンの営業利益を上げていたが、23年上半期には62兆8,440億ウォンの営業損失を記録している。この半導体業績の急変がグループに悪影響を及ぼしている。SKハイニックスの借入金は、今年上半期を基準に32兆7,856億ウォンに達しており、グループ内で5兆ウォンを上回る借入金を持つ会社は7社ある中で、SKハイニックスの借入金額が最も大きい。

対応を急ぐものの

 SKグループでは、各系列会社の新規投資を縮小し、本業と関係のない資産の売却や優先株の発行を通じた資金調達で財務の安定化を目指している。赤字に転落したSKハイニックスは、今年の設備投資を22年度の50%に縮小し、水処理センターを約1兆1,000億ウォンでSKリーツに売却した。また、17億ドル規模の交換社債を発行し、資金を調達した。SKグループの系列会社が最近1年間で株式と資産売却で確保した資金は11兆ウォンに上る。

 しかし、資金調達でしのぐことには限界があるため、事態の改善のためには業績の回復が何よりも必要だ。SKハイニックスは半導体不況で巨額の赤字を計上していたが、AIチップ需要の増加で、今年の四半期に黒字転換が予想されている。韓国の証券アナリストは、来年SKハイニックスの営業利益が20兆ウォンに達すると予想している。もう1つ、車載電池の業績がSKグループの命運を左右するだろう。来年車載電池や半導体が回復すれば、SKグループは再び盛り返すことになるが、そうならない場合には大きな試練が待ち受けているだろう。

(了)

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