2024年05月08日( 水 )

野田佳彦氏待望論の笑止千万

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、2009年9月の民主党基軸の政権樹立という金字塔を木っ端微塵に破壊したのは立憲民主党の野田佳彦氏であるよし、彼の待望論に警鐘を鳴らす12月25日付の記事を紹介する。

 野田佳彦氏が「世襲が諸悪の根源」だと主張し、待望論に「ひと肌もふた肌も脱ぐ」とするTBS記事が掲載されている。https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/912392

 政治資金規正法の抜け穴の指摘はその通り。21条の2の2項が政治家個人への政党・政党支部からの寄附を認めてしまっており、これが抜け穴になっている。企業・団体から政党・政党支部への献金は規制されず、その政党・政党支部から個人への寄附が許される。

 政党から政治家個人に億円単位の寄附が行われ、その資金の使途が一切明らかにされない。制度を悪用しているのは自民党だけでない。国民民主党も維新も同じ。21条の2の2項を削除する法改正を直ちに実施すべきだ。

 また、弁護士の郷原信郎氏が提案する、国会議員の政治活動に関連する政治資金の「財布」全体を総括する「国会議員政治資金総括収支報告書」の作成提出を義務付ける制度を導入することが必要不可欠だ。まずは、この法改正を断行すべきだ。

 岸田首相が自民党内に検討する機関を設置する方針を示したが、政治家が自分たちで制度を刷新することは不可能。政治家自身が法律を制定したからザル法がつくられてきたのである。政治家ではなく、主権者である市民が主導して法改正を検討しなければ、実効性のある対応策が示されるわけがない。

 さらに踏み込んで、企業団体献金の全面禁止を決定すべきだ。政党交付金を導入したのは企業団体献金を全面禁止することとの交換条件であったはずだ。2009年に民主党代表の小沢一郎氏に対する人物破壊工作が展開された際、小沢氏が返す刀で企業団体献金の全面禁止を提案した。

 2009年9月に政権を樹立した民主党は、これを実現すべきだったが、岡田克也氏などが強硬に反対して、民主党が企業団体献金全面禁止を闇に葬った経緯がある。野田氏はTBS記事で、もし野田氏待望論が湧きあがったらどうするのかについて、「ひと肌もふた肌も脱ぎますよ。じゃないと死んでも死に切れませんから…、もう1回政権交代にリアリティが出てくるようにしなければやってる意味がないです」と発言したと報じられている。

 政治資金規正法改正は必要不可欠だが、それにかこつけて野田氏待望論などという悪い冗談を記事にするのはやめてくれ、と主権者国民が怒り心頭に発している。2009年9月の民主党基軸の政権樹立という金字塔を木っ端微塵に破壊した首魁が野田佳彦氏である。

 過去15年間の日本政治史を振り返ったとき、最大最悪の政治決定は消費税大増税だ。これを決定し、これを実行した。そのために日本経済は凋落し、国民経済は崩壊した。このことを脇に置いて待望論などとは笑止千万だ。

※続きは12月25日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「消費税減税が総選挙最大争点」で。


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