2024年04月16日( 火 )

コストコ&スマートIC「衣食住が完結する小郡へ」(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

小郡市長 加地 良光 氏

小郡市長 加地 良光 氏

ベッドタウン小郡 22年に市制50周年

 ──小郡市の特徴といえば、交通利便性の高さが挙げられます。

 加地 九州を南北に縦断する九州自動車道と、東西に横断する大分自動車道が重なり合うクロスロード地域であり、物流や車での通勤などの日常生活にともなう移動に大変便利な立地です。西日本鉄道と甘木鉄道の2つの鉄道が走っており、福岡市の中心部・天神まで30分程度で移動可能となっています。恵まれた交通環境から住宅開発も進み、これまで福岡市や隣接自治体である久留米市のベッドタウンとして発展してきました。

 1972年に人口約3.2万人で発足した小郡市は、2022年に市制施行50周年を迎え、現在の人口は約6万人です。新旧住民の割合も均衡に向かっており、そのなかで伝統と革新の文化の混じり合いも起きています。都市化が進む一方で、豊かな自然環境も残された調和のとれたまち、それが今の小郡ではないでしょうか。

 ──住民間の連携については、いかがでしょうか。

 加地 地域活動への積極性は小郡の強みだと思っています。8つの小学校校区ごとに協議会があり、児童の登下校時の見守りなど、自分たちの地域のことは自分たちでやろうという当事者意識が醸成されています。各校区・地域ごとに、課題解決型のまちづくりが進んでいるイメージです。

 市の将来像を示す「第6次小郡市総合振興計画」のなかで、~「共感・共働・共創」による共生社会を目指して~という理念を掲げましたが、実現できると確信しています。日本語学校や、介護福祉専門学校などに通う外国人留学生のほか、ネパールやベトナムからの技能実習生も多く、約1,400人の外国人が暮らす国際色豊かな側面もあります。介護福祉専門学校で学び、市内の介護施設に就職するという事例も増えてきており、共感・共働・共創による共生社会の実現に、彼らの存在は欠かせないものとなっています。

耕作放棄地の活用と防災まちづくり

 ──農地が多いイメージですが、耕作放棄地の現状はいかがでしょうか。

 加地 市内の産業別就業人口を見ると、サービス業などの第三次産業が8割超で最も多く、農業などの第一次産業は1割に届きません。一方で、面積の割合で見ると農地が多く、市街化調整区域内の耕作放棄地の活用が課題になっていました。

 そこに立ち上がってきたのが、小郡鳥栖南スマートインターチェンジ(以下、スマートIC)、ならびに県道鳥栖朝倉線(小郡鳥栖南スマートICアクセス道路)、そしてコストコ小郡倉庫店の計画でした。新たな道路とスマートICが整備されることで、隣接する久留米市や鳥栖市に比べて、まだ余白のある小郡に各種物流拠点を置くという選択肢が生まれます。昨年のGLP福岡小郡の竣工は記憶に新しいところですが、交通利便性の向上は、商業施設の運営事業者にとっても進出の後押しにもなります。

 ただ、自然との調和が小郡の強みでもありますので、たとえば鳥栖ジャンクションの西側を工業・流通ゾーンとし、産業機能の集積や企業立地を推進するエリアを限定することで、乱開発の抑制に努めています。

筑後小郡ICまちづくり構想概略図 小郡市公表資料より
筑後小郡ICまちづくり構想概略図
小郡市公表資料より

 ──企業の進出意欲は、たしかに高まっていると思います。

 加地 コストコ小郡倉庫店は筑後小郡ICを下りてすぐの場所に今秋オープン予定ですが、やはり同IC周辺への企業の進出意欲、とくに物流関連の事業者の進出意欲は高まっていると感じます。こうした状況を受けて昨年、「小郡市インターチェンジ周辺まちづくり構想」を策定し、環境保全、流通・工業、市街地および自然・歴史資源を生かした観光まちづくりなど、しっかりとゾーニングをプランニングしたうえで、持続可能なまちづくりに取り組んでいます。先行して筑後小郡IC周辺まちづくり構想を公開しており、小郡鳥栖南スマートIC周辺まちづくり構想も鋭意策定中です。

 また、災害対策やDX推進の観点からも、築50年超で更新期を迎え、機能が分散している小郡市庁舎の建替え・機能集約についても議論を進める必要があります。最終的には小郡駅周辺のまちづくりについても、考えていくことになるでしょう。

 ──災害対策でいうと、小郡市のまちづくりには集中豪雨対策の視点が必須です。

 加地 市には筑後川水系の宝満川をはじめ、多数の支流があり、集中豪雨により水位が上昇することで内水氾濫が発生する危険性があります。市内55カ所のため池の先行排水や、過去の被害状況を踏まえて国・県の排水ポンプ車を要請するなど、適宜減災への取り組みを行っています。また、小郡中学校や七夕運動広場のグラウンドなどに、オンサイト貯留施設を整備するなど、水害対策を強化している段階です。

新たなランドマーク、コストコが新規開業

 ──コストコ進出の経緯についてうかがえますか。

 加地 21年3月に、コストコの役席者の方が庁舎を訪ねてこられたのが始まりです。最初は小郡を訪れたついでの表敬訪問だと思っていたのですが、その後、日本支社長のケン・テリオ氏が複数回にわたって訪問され、小郡への出店を直接打診されたことを受けて先方の本気が伝わり、こちらもコストコ出店に向けて全力で取り組むことになりました。

 しかし、市街化調整区域の農地に大型商業施設を出店させるのは、都市計画法上のハードルも高く、決して容易ではありませんでした。特別チームを編成し、私も御船町(熊本)などのコストコが出店した自治体へ足を運び、アドバイスをいただきました。皆さん快く相談に乗ってくれたので、本当に助かりました。出店に向けて動くなかでも、改めてコストコのブランド力を思い知らされた次第です。

 地域によって当然開きはあるでしょうが、コストコの集客は1日平均3,000~7,000人、週末やイベント開催時にはさらに増えると聞いています。地域にもたらすインパクトは計り知れません。事業者にとっては数千人規模の潜在顧客を得ることにつながりますし、市としても定住人口獲得の機会になります。コストコで買い物をして終わりではなく、コストコを起点としていかに小郡の人や食、観光地の魅力を買い物客に伝え、周遊性を高められるかが重要になります。交通量の増加なども懸念されますが、まずは商機と捉え、まち全体の賑わい創出につなげていきたいと考えています。

ケン・テリオ日本支社長からメッセージ付サイン
ケン・テリオ日本支社長からメッセージ付サイン

(つづく)

【聞き手:内山 義之/文・構成:代 源太朗】


<プロフィール>
加地 良光
(かじ・りょうこう)
加地良光1964年11月生まれ。埼玉大学経済学部卒業後、(株)NBC長崎放送に入社。同社退職後は、(株)TVQ九州放送へ入社し、アナウンス部長や報道部長などを歴任し、地域に根差した情報発信に努め、2017年、小郡市長に就任。現在2期目。

(後)

関連キーワード

関連記事