BIM推進へ、意匠・構造・設備・積算など8団体が一丸(後)
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建築倶楽部BIM推進協議会
会長 西 洋一 氏(一社)福岡県建築士事務所協会 副会長
(株)Gデザインアソシエイツ 代表取締役所長一気通貫で連動させた“オールインワンモデル”を
──建築設計におけるBIMの導入メリットや優位性については、どのように思われていますか。
西 BIMはこれまでの2次元CADなどと違って、コンピュータ上の3Dの仮想空間のなかで属性情報をもつ建築部材を配置してモデルを組み立てていくようなイメージで、根本的な考え方がまったく違う設計手法であり、設計から施工、維持管理までのあらゆる工程におけるデータを一元的に管理することが可能となっています。習熟するのはかなり大変ですが、パワーユーザーになれば2次元CADに比べて作図時間が3分の1から4分の1にもなるといい、作業時間の大幅な短縮により、業務効率化や省人化には、間違いなく寄与します。
また、視覚伝達性が非常に優れているのも大きく、たとえば、設計のプロではないクライアントが平面の設計図面から建物の完成形を正確にイメージすることは難しいですが、BIMであれば完成形とほとんど相違ないイメージを提示することができます。これにより、建物完成後のクレームの減少効果が期待できるなど、導入によるメリットは非常に大きいと感じています。
ただ現状は、各事務所のBIMの習熟度合いによっても違いますが、その高いポテンシャルをまだまだ生かしきれてはいないとも感じています。意匠・構造・設備・積算・施工までBIMを連動させられるのが理想ですが、現実としては意匠や構造ぐらいまでで、設備や積算、施工のすべてを連動させるまでには、まだ時間を要するでしょう。当社((株)Gデザインアソシエイツ)でも、まだ外観やエントランスなどの意匠の領域まででしか、BIMをうまく活用できておりません。
ですが、それでも作業がスピーディーになったり、修正を一気に行うことが可能になったりと、BIM導入による恩恵は大いに感じています。建設業界ではこれから人手不足がますます進んでいきますが、BIMの導入によって足りない人手を補い、活路を切り拓いていける可能性は高いのではないでしょうか。
──最後に、推進協議会として今後取り組んでいきたいことをお聞かせください。
西 まずは先ほどもお話ししましたが、まだ道半ばである意匠・構造・設備・積算を連動させていく、その勉強をしていきたいというのが1つあります。また、時間はかかると思いますが、1つの“オールインワンモデル”をつくりたいと思っています。規模が小さくても構わないので1つのプロジェクトで役割分担を行いながらさまざまな事務所が関わり、モデルをつくっていく。そして、そうしたモデルをうまくつくれれば、九州・沖縄ブロックまで展開していく動きをしていきたいですね。たとえば今、佐賀や長崎、宮崎では設備設計事務所が非常に少なくて困っていると聞きますので、BIM活用によって福岡が応援していくようなかたちで、取り組みを広げていければと思っています。
当推進協議会は、BIMの普及推進のために活動していますが、大手だけでなく、3名以下の小規模事務所にまで普及させていくことが重要だと考えています。ただし、先ほどもお話ししたようにBIM導入に際してのハードルは高く、とくに小規模事務所になるほど厳しくなっていきます。まずは実務部会でのワークシェアなどの活動を通じてBIMを実際に経験してもらうことで、「BIMを導入しなければ」という意識を芽生えさせていければと考えています。これからも推進協議会の参加8団体が一丸となって団体の枠を越えた連携や取り組みに力を入れていき、地道にBIM普及推進に努めていきます。
(了)
【坂田 憲治】
<プロフィール>
西 洋一(にし・よういち)
1958年11月、宮崎市(旧・佐土原町)出身。九州大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了を経て、84年4月に(株)メイ建築研究所に入社。89年3月に(株)醇建築まちづくり研究所を設立し、取締役副所長に就任。2005年6月に設計部門を分社化し、(株)醇デザインアソシエイツ(06年1月に(株)Gデザインアソシエイツに商号変更)を設立して代表取締役所長に就任。16年5月に(一社)福岡県建築士事務所協会副会長に就任。22年12月に建築倶楽部BIM推進協議会会長に就任した。法人名
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