2024年04月16日( 火 )

BIMのメリットと次世代クリエーターの心得

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森戸設計(株)
代表取締役 森戸 大輔 氏

森戸設計(株) 代表取締役 森戸大輔 氏

 森戸大輔氏は、前職の組織設計事務所時代、早くからBIMを導入し設計業務の効率化に役立ててきた人物だ。そんな森戸氏が、BIMについて具体的にどのようなメリット・デメリットを感じているのか、話を聞いた。

業務負荷が3分の2に

 「あくまでも感覚的なものですが、BIMの活用により、業務全体の負荷が3分の2にまで軽減できました」と森戸氏。従来は平面図や立面図、断面図、展開図といったさまざまな種類の設計図書をそれぞれに作成していたが、BIMではそれらを一元的に行うことが可能となる。とくに、部材の性能や大きさ、建物形状などに一定の規則性がある規格型建築物、たとえばプレハブ(工業化)住宅との相性が良く、その分野では今後、さらに普及が見込まれると指摘していた。

 一方で、オーダーメイド性が高い建築物では、BIMは使いにくい面があるという。「そうした建築物の設計提案を行うケースでは、ラフプランづくりが非常に重要な作業となります。ラフプランでは、細かな『納まり』よりも建物としての大枠のイメージを重要視して検討することがほとんどですが、BIMではデータの矛盾が許されず、詳細なポイントまで3D画像に反映されてしまうため、そのあたりの融通が効かないところに使いにくさを感じます」(森戸氏)。

 また、BIM導入の初期コストが高額になることもデメリットだという。イメージ共有やプレゼンツールとして非常に有効だが、施工には基礎や建て方、内外装、配管、電気工事など、さまざまな関係者が関わる。これらすべての関係者が、BIMに対応できるわけではない。設計に限っても、細かい図面の作成は外注することが一般的で、外注先は従来型のCADソフトで設計を行っていることから、BIMデータとの連携に乏しい。

制作中のBIM画像
制作中のBIM画像

AIの進化が今後を左右

 ところで、一般的にBIMは建設DX実現に向けた重要なツールと位置づけられている。だが、森戸氏はそれに違和感があるそうだ。近年のBIMの普及速度の遅さを鑑みると、設計から施工まで現場段階でBIMが活用されるよりも早く、AIがBIM生成を行う時代になる可能性があるからだ。実際、安価で導入でき、AIをともなった直感的な操作性が可能なソフトは次々に登場しており、中国ではすでにそれを基に多くの建築物が供給されているという。将来的には、「フランク・ロイド・ライト風にして」と指示するだけで、瞬時にそれをイメージさせるプレゼンデータが生成されるという実証事例も存在する。「そうなると設計士が不要とされる状況になるかもしれませんが、施主の希望や想像を超えた提案は人間にしかできないはずです」(森戸氏)。

 BIMは建設DXにおけるツールの1つに過ぎない。テクノロジーがさらに進化するなかで、今後はそのBIMの位置づけはもちろん、設計士にはよりクリエーターとしての知見や経験が問われることになりそうだ。

【田中 直輝】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:森戸 大輔
所在地:福岡市中央区小笹3-12-8
設 立:2023年7月
TEL:092-791-3103
FAX:092-791-3032
URL:https://moricolle.jp


<プロフィール>
森戸 大輔
(もりと・だいすけ)
1978年生まれ。東京電機大学工学研究科修士課程修了。アトリエ系設計事務所で経験を積んだ後、組織設計事務所でマンションやオフィスビル、医療福祉や食品関連などの特殊建築物の設計を担当。統括責任者としてキャリアを積み、2023年7月に独立して森戸設計(株)を設立し、現在に至る。趣味はキャンプ。

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