2024年05月20日( 月 )

「もう天井?」2024年地価公示、福岡はさらに上昇(6)

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【早良区】
西新・藤崎

 3年連続で10%以上の上昇率となったのは3地点。地下鉄・西新駅から徒歩4分の「西新2-1-3」は、商業ビルやマンションなど幅広い需要が評価され、13.9%の大幅上昇となった。3年以上連続して10%以上の上昇となった地点は少なかったが、今回10%以上の上昇となったのは、東区の25地点を上回る28地点を数えた。目立ったのはやはり西新駅と藤崎駅の周辺で、区内上昇率トップテンのうち6地点が両駅徒歩圏となった。区内最大の上昇率となったのは藤崎駅から徒歩3分の「高取1-1-42」で、15.4%と大きな伸びを見せた。

 福岡県が行った県職員住宅跡の入札では、住友不動産(株)(東証プライム)が38億1,000万円で落札しており、藤崎駅から徒歩10分の立地を生かして分譲マンション開発が行われることが予想されている。また、西新駅から徒歩7分、藤崎駅から徒歩5分に立地するファミリータイプの賃貸マンション・セッテ西新(22戸)をJR西日本の子会社・JR西日本不動産開発(株)(大阪市北区)が取得したほか、テナントビルやオフィス、賃貸マンションなど多くの物件が売買されている。西新というまちの特徴については別項に譲るが、住宅地の価格順6位に「西新2-11-9」、8位に「高取2-5-10」が入るなど、福岡市内でも有数の人気住宅地として確立された地位を築いている。

【南区・西区・城南区】
堅調な大橋駅

 3区では4地点が3年連続で10%以上の上昇となった。南区では、西鉄・大橋駅から徒歩5分の「大橋2-19-3」(12.6%)、ららぽーと博多にも近い「塩原1-28-12」(11.8%)の2地点。福岡・副都心の1つらしく、こちらも売買は活発で、マンション用地のほかテナントビル、アパートなどの売買が散見される。大橋駅東口のゆめアール大橋跡では、(株)えんホールディングス(福岡市博多区)が複合商業施設・OHASHI HILLの新築工事に着工したところ。完成は25年3月の予定。

 西区は、「姪浜駅南1-6-19」(16.7%)。地下鉄・姪浜駅から徒歩3分の立地が評価された。同地点にも近いRC造・6階建の賃貸マンション「姪浜駅南ビル」は(株)柴田産業(福岡市博多区)が昨年12月に取得したほか、駅の周辺では売買も活発に行われる。柴田産業グループは、北天神のビルや得意エリアである博多駅南で物件の取得を進めており、博多駅南のオフィス跡では、グループ新本社の建設予定があるといわれている。

 城南区は、「鳥飼5-2-39」(15.7%)。地下鉄・別府駅から徒歩3分の立地にある賃貸マンションで、「都心部の地価高騰より割安感のある当地域への投資需要の流入が認められ、地価上昇幅拡大傾向にある」と評価された。

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 今回の地価公示においても、福岡市および周辺の地価は目立って上昇した。傾向としては前回までと同じく、博多・天神に近いエリアでの上昇がとくに目立ったが、県内で10%以上の上昇率となった地点は前回から78地点増加して203地点となった。建売住宅の一部では販売が失速しており、下落する地点が出ても不思議ではなかったが、福岡市内で下落した地点は0、福岡都市圏まで広げても下落は0だった。

 現実的には、福岡都市圏において二極化が進んでいるようにみえる。郊外の住宅地で販売の鈍化が見られ始めた一方、天神・博多の主要エリアでは、「もう天井」といわれて数年、今でも地価高騰が続いており、これまでにない価格がついていることも珍しくない。地価に劣らず、建設費も大幅に上昇しており、このトレンドはどこまで続くのか、チキンレースはすでに始まっているのかもしれない。

(了)

【永上 隼人】

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