2024年06月21日( 金 )

事業促進PPP、各段階で選択式に

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中央合同庁舎第3号館
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 国土交通省は3月26日、「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会 業務・マネジメント部会」(部会長:日本大学危機管理学部・木下誠也教授)を開催し、直轄の事業促進PPPガイドラインの改正案を示した。改正方針では、「総合型」と「事業段階選択型」の2タイプに分類。総合型は従来通りで、事業段階選択型は調査~施工・維持管理までの各段階で選択式を設定し、課題に応じた柔軟な活用を可能にした。改正時期は未定だが、動向次第で早期に実施することも考えられる。

事業促進PPPは9倍へ

 東日本大震災を受けて2012年度以降、事業促進PPPは三陸沿岸道路などの復興道路で導入され、19年3月には標準的な実施手法、業務内容や仕様書の記載例を示したガイドラインが策定された。受注インセンティブ向上のため、21年3月には業務の受注制限、常駐・専任要件の緩和を盛り込み、ガイドラインが改正されていた。

 適用事業は、大規模災害の復旧・復興や平常時の大規模事業が対象で直轄職員が柱となり、官民の知識・経験の融合により事業を促進する。業務内容は全体事業計画の整理、地元や関係行政機関との協議、工程・コストなどの事業管理や施工管理となる。実施件数は12年の24件から22年には199件と約9倍に増加した。

 現在は測量、調査、施工まで一括での活用となっているが、「測量だけ活用したい」「維持管理まで適用拡大すれば人手不足解消につながる」「受発注者協議のうえ、必要に応じて適正な設計変更の実施や発注者と円滑に連携が取れる能力がある者が求められる」などの意見が寄せられた。

 23年1月の会合では、事業促進PPPを導入するフェーズや目的・内容に応じて5つのタイプを設定しており、業務内容に高度な技術支援、施設管理、BIM/CIM活用支援を追加していた。実施段階で業務内容の追加・変更にも柔軟に対応するため、必要に応じて適正な設計変更を実施すること、担い手の育成の観点から技術者に求められる能力を明記する案がまとまった。

配置技術者の能力を明記

 今回の会合では、実施体制が再整理された。災害時と平常時でそれぞれ行われてきた調査~設計~用地~施工~維持管理をこれまで通り一括で進める「総合型」に加えて、各事業段階で選択方式を設定する「事業段階選択型(複数段階、単独段階)」を新たに設定した。選択する事業段階は、調査、設計、用地、施工で平常時は維持管理も加わる。

 21年度に実施された「技術者に求められる能力」についてのヒアリングでは、発注者や受注者からは、次のようなものが聞かれていたといい、新ガイドラインでは能力などの記載を充実する方針だ。

  • 配置技術者に対して人間関係の構築、遠慮せず必要な意見をいう
  • リスクに対して無数のシナリオを想定、他社の技術者をまとめるリーダーシップ
  • 事業全体を俯瞰したマネジメント能力
  • 周囲の意見をよく聞き、連携する協調性

 監理業務受注者の体制は、総合型ではこれまで通り管理技術者、主任技術者、担当技術者の3階層の構成となる。新たに加わった事業段階選択型では、管理技術者と主任技術者、または管理技術者と担当技術者の2階層により構成することを基本とした。

 本部会では、委員の1人から「事業促進PPPガイドラインは直轄工事に加えて、地方自治体にも落とし込む必要があるのではないか」との意見が出た。これに対し事務局は、「ガイドラインの内容は、直轄の発注者を対象とした。場合によっては技術者がいる都道府県・政令指定都市の発注者も利用可能だ。ただし、市町村となると技術職員が不足しており、マネジメント不在といわれている。そこで我々も、今回のガイドラインではカバーできないが、市町村のマネジメント能力の向上のための施策を打ちたい」と回答していた。

 国交省はガイドライン改正後もPPPに関する状況や課題を引き続きフォローアップし、マネジメントを担う技術者の確保・育成・評価方策を引き続き検討するほか、課題を把握したうえで、必要に応じてさらなるガイドラインの見直しも実施していくという。

【長井 雄一朗】

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