2024年06月13日( 木 )

福岡空港での重大インシデント(?)~滑走路増設後の運用不安

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(株)アクロテリオン
代表取締役 下川弘

 5月10日午後0時20分頃、福岡空港で離陸順番を待っていた、羽田行の日本航空機(JAL)312便(乗客乗員176人)が誘導路上で停止線を大幅に越えて滑走路に近づき、離陸のため滑走路を時速約120㎞で走行始めた松山空港行きのジェイエア(J-AIR)の旅客機3595便(乗員乗客48人)が急ブレーキをかけ、離陸を途中で取りやめるトラブルが起こった。

 管制官の指示とジェイエア機の機長の判断で衝突事故になることは回避されたが、危うく、1月2日に羽田空港で起こった海上保安庁機と日本航空機の衝突事故の二の舞になったかもしれない。

 国土交通省が事故発生の恐れがある「重大インシデント」には当たらないと判断したことや、大事故にはならなかったためか、マスメディアでの報道もそれほど多くはなかった。日本航空およびジェイエアのホームページでも本件についての状況説明は一切されなかった。

 福岡空港では、1月10日に、タイベトジェットエア(VJ810便)が誘導路を走行中、誤ってエンジンを試運転する場所に誤進入し立ち往生したほか、同17日にも韓国の格安航空会社(LCC)のチェジュ航空(JJA1452便)の旅客機も誘導路を走行中に進路を誤り、行き止まりに進入し、一時立ち往生した事案があった。

 現在福岡空港は、来年春に共用開始予定の増設滑走路の工事ならびに、新管制塔や空港周辺施設の整備を急ピッチで進めている。空港施設や設備が新しくなることは、安全な運行をするうえで大変よいことだと感じているが、少しだけ不安がある。

 現滑走路と新滑走路との距離は210mしか離れていないことによる上述のような誤進入の可能性や、国内線・国際線ターミナルが分かれていることによるそれぞれの滑走路を横切るように運用される可能性、また離発着の過密化が予想される。

 「24時間使えない福岡空港」「すぐに容量限界を迎える福岡空港」「相続によりねずみ算式に拡大する地権者対応」「航空法による都市開発の高さ制限」「福岡中心部上空を飛行する航空ルート」。こうした状況を踏まえて福岡県民は、これから先何十年、今の場所での運用に賛同していくのだろうか?

 現在、熊本県は台湾の半導体企業TSMCの第1工場が稼働し、これから第4工場まで建設されるとの話も聞く。それを機に熊本の企業誘致、不動産投資、道路整備等の建設投資の勢いはすさまじいものがある。おそらく10~20年以内に熊本経済は福岡経済を追い抜いてしまうかもしれない。都市の栄枯盛衰だ。

 福岡国際空港㈱による運営は2048年7月31日までで、あと24年。その後の運営に関しては、何も決まっていない。

 福岡の街が今後も発展していくためには、来年の増設滑走路運用開始後、すぐにでも新福岡空港の議論・計画を始める必要がある。安全でかつ十分な容量で、24時間使用可能な九州の空の玄関口(新福岡国際空港)が不可欠なのである。


<プロフィール>
下川弘
(しもかわ・ひろし)
1961年11月、福岡県飯塚市出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築営業本部やベトナム現地法人のGM、本社土木事業本部・九州支店建築営業部・営業部長などを経て、2021年11月末に退職。(株)アクロテリオン・代表取締役、C&C21研究会・理事、久留米工業大学非常勤講師。

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