【2025年3月】行政処分や指名停止(141件)監督官庁・自治体公表の企業

 企業におけるコンプライアンスの重要性が増しており、経営上のリスクを低減するためには、さまざまな企業情報の収集と分析が不可欠な時代となりました。データ・マックスでは、監督官庁や地方自治体が公表した行政処分や指名停止などの情報をデータベース化し、毎月まとめたレポートを配信しております。

 2025年3月判明分は、①監督官庁による公表(全国対象)が90件、九州に特化した情報として、②福岡労働局や九地整、九州運輸局、自治体による公表分が51件、合計141件を確認しました。主な傾向とポイントをまとめ、企業リストを会員限定にて掲載します。本レポートが経営判断のリスクを学ぶ機会となれば幸いです。

2025年3月の法令違反事例分析レポート

  • 1. 労働安全衛生法違反・最低賃金法違反

     3月も労働環境に関する法令違反が続発した。建設現場での安全対策の不備による死亡事故や、造園業などでの作業中の重傷事故が発生し、関係事業者が書類送検された。また、複数の企業で定期賃金の不払いが判明し、最低賃金法違反として法人および代表が送検されている。労働者保護の基本が守られていない実態が浮き彫りとなった。

  • 2. 食品衛生法・景品表示法違反

     飲食店でのノロウイルス食中毒の発生が相次ぎ、福岡市では複数の施設に営業停止や勧告が出された。また、景品表示法に基づく措置命令や課徴金納付命令も多数出されており、健康食品やマスクなどの広告表示で、科学的根拠の不備や誤解を招く表現が問題となった。消費者保護と情報の透明性が問われる内容である。

  • 3. 金融商品取引法違反

     複数の金融事業者で、有価証券報告書の虚偽記載やファンド運用の実態不備などが発覚し、金融庁および証券取引等監視委員会から課徴金納付命令や業務改善命令が出された。とくにファンド運営における説明義務の欠如や無登録での勧誘など、投資家保護を軽視した行為が多く見られた。

  • 4. 下請法違反・公正取引違反

     下請事業者に対し、金型の無償保管や代金減額、不当な商品購入の強要といった行為が相次ぎ、公正取引委員会は勧告・再発防止措置を指示した。とくに、過去にも同様の違反歴がある企業が再度処分を受けるケースもあり、持続的な内部統制と教育の必要性が改めて指摘される。

  • 5. 運輸・建設業界の法令違反

     運輸業界では、点呼や整備記録の不備、指導体制の欠如などが原因で、文書警告や輸送施設の使用停止処分が複数のバス・タクシー・貨物運送業者に出された。建設業界でも施工不備や技術者配置義務違反などが発覚し、国や地方自治体から指名停止が相次いだ。

  • 6. 技能実習法違反の急増

     3月は技能実習法違反に関する処分が全国で顕著に増加した。監理団体や実施事業者に対する「許可取消し」「技能実習計画の認定取消し」が多数行われ、実習生の権利侵害、虚偽報告、不正就労、労働災害などが理由とされた。複数の企業が違反により罰金刑を受け、全国で数十件におよぶ処分が確認された。制度運用の透明性と受入側の倫理的責任が強く問われる事態となっている。
     とくに注目されたのは、造船大手の今治造船が、労働安全衛生法違反で罰金刑を受けたことにより、過去最多となる2,134件の技能実習計画が一斉に取り消された事例である。この処分により、今治造船は今後5年間、外国人技能実習生の受け入れや、2027年までに始まる育成就労制度による外国人労働者の活用ができなくなる。

  •  以上の事例は、下記の企業リストからの遷移で詳細を確認することができます。

      

企業リスト(141件)

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