【マックス経営講座】中小企業の生き残り戦略(11)DX認定取得企業の成功事例に学ぶ(変革へのステップ)
はじめに
前回まで、DXの考え方、DX認定制度の趣旨と取得に向けた準備・推進ポイントを整理してきました。今回はいよいよ、実際にDX認定を取得し、企業価値向上につなげている企業の成功事例を紹介し、皆さまが自社に置き換えて考えるヒントを得られるお話をしたいと思います。「理論はわかったけど、実際にどうやったらいい?」という声に応える内容にできればと思います。
なぜ成功事例が重要なのか?
理論や制度を学んでも、現場に落とし込むのは容易ではありません。実際にDX認定を取得した企業の具体的な取り組みを知ることで、「どんな準備が必要だったのか」「どんな効果があったのか」がイメージしやすくなります。成功事例を通じて、「自社に当てはめたらこうできるかも」という発想を広げていただきたいと思います。
事例① 製造業(鋳物製造)
取り組み内容:
・3Dプリンタによる木型レス砂型成形技術を導入。
・従来比で工程時間を40%短縮し、受注リードタイムを大幅短縮。
ポイント:
・DX化の目的(納期短縮と品質向上)を明確に設定。
・KPI(製造リードタイム短縮率)をモニタリングし、施策の効果を可視化。
成果:
・受注機会の拡大と、顧客満足度向上に成功。
・社内のデジタルリテラシーも底上げされ、次の新規DXプロジェクトへ発展。
事例② サービス業(エステサロン)
取り組み内容:
・予約管理システムをクラウド化し、来店データや顧客カルテもデジタル管理。
・DX認定取得後、IT導入補助金を活用してPOSレジ・顧客管理システムを刷新。
ポイント:
・現場スタッフの意見を取り入れ、「使いやすさ」を重視したシステム選定。
・スモールスタートで導入後、小規模改善を積み重ね。
成果:
・リピート率向上(前年比+12%)
・顧客満足度向上により新規紹介数も増加。
事例③ 建設業(工務店)
取り組み内容:
・現場進捗管理をアプリ化し、写真・進捗をリアルタイム共有。
・高齢社員でも簡単に使えるインターフェースを導入。
ポイント:
・トップ(社長自ら)がアプリの使い方研修を行い、社員の心理的ハードルを低減。
・「まずは一現場だけ」からスモールDXを実施。
成果:
・工期遅延率が大幅に減少(前年同期比▲20%)
・「デジタルは難しい」という社内の思い込みが払拭され、積極的な改善提案が増加。
まとめ
DX認定取得はゴールではなく、「変革への第一歩」です。業種や規模に関係なく、経営者の意思と小さな挑戦から未来は切り拓けます。「できるかできないか」ではなく、「なぜやるのか」「何を変えたいのか」を明確にし、一歩踏み出すことこそ、中小企業が生き残り、未来を創造する鍵だと思います。これらの事例は、各企業がDX戦略を策定し、進めていくプロセスを書面に落とし込んで申請し、認定を受けた後に取り組んでいる内容なので、申請時にすでにできているわけではありませんが、認定を受けることによって自信をもって変革へのステップを踏み出せるというのが大きなメリットです。
次回は、さらに実践に役立つ “DX推進後の課題と次のステップ” について掘り下げていきます。
▼関連記事
【マックス経営講座】中小企業の生き残り戦略
<INFORMATION>
(株)コンシャスマネジメント
所在地:福岡市中央区天神1-4-1
西日本新聞会館16階
(天神スカイホール内)
TEL:092-736-7528
<プロフィール>
(株)コンシャスマネジメント代表取締役/中小企業診断士
西岡隆(にしおか・たかし)
大学卒業後、会計事務所、監査法人などを経て2001年中小企業診断士登録と同時に西岡経営管理事務所を開設。21年、事業拡張にともない(株)コンシャスマネジメントを設立