9日、公正取引委員会は農業機械大手の井関農機(株)(本社:愛媛県松山市、冨安司郎代表)に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)違反の事実が認められたとして勧告を行った。違反行為は、下請事業者に対し、自社のために無償で大量の型や治具を長期間保管させ、不当な経済的負担を強いたもの。
同社は農業機械メーカーで、トラクタや田植機、コンバインなどの製造・販売を手がける。同社は、農業機械の部品や金型の製造を委託してきた下請事業者に対して、同社およびその製造子会社が所有する型や治具(樹脂型、木型、溶接器具、刃物、測定機器など)を無償で保管させるというかたちで、経済上の利益の提供を求めていた。
公取委の調査によれば、井関農機は遅くとも2023年5月1日~25年1月31日までの間、部品発注が長期間ないにもかかわらず、下請事業者102社に対して計1万9,461個の型や治具を自己のために無償で保管させていた。さらに、同社は製造子会社に指示し、23年9月~24年5月にかけて、保管させていたうちの3,671個を回収、2,848個を廃棄した(66社が対象)。
問題行為への対応として、同社はすでに下請事業者102社に対して、無償保管にかかった費用相当額として、24年12月30日および25年1月31日に1億1,445万8,381円を、さらに25年2月28日および3月31日には、同年12月31日までの保管費相当額として4,804万835円を支払った。総額は1億6,249万9,216円にのぼる。
公取委はこれらの行為が、下請法において禁止されている、不当な経済上の利益の提供要請にあたると認定した。
【寺村朋輝】
法人名
関連キーワード
関連記事
2025年5月9日 10:30
2025年5月6日 06:00
2025年5月5日 06:00
2025年5月4日 06:00
2025年5月1日 15:20
2025年4月17日 10:30
2025年4月3日 17:30