17日、公正取引委員会は(株)小学館(本社:東京都千代田区、相賀信宏代表)および(株)光文社(本社:東京都文京区、巴一寿代表)に対し、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(いわゆる「フリーランス・事業者間取引適正化等法」)に違反する行為があったとして、それぞれ勧告を行った。
発表によると、小学館は2024年12月1日~31日にかけて、ライターやカメラマン、イラストレーター、ヘアメイク担当者など、従業員を雇用していないフリーランス191名に対し、雑誌制作に関連する業務を委託していた。この際、報酬額や支払期日といった取引条件を即時に明示しなかった上、報酬を給付受領日までに支払わなかった事実が認められた。また、同様に光文社も、24年11月1日~25年2月27日にかけて、特定受託事業者31名に業務を委託する際、取引条件の明示と報酬支払いが遅延していた。
両社の行為について公取委は、同法が定める「取引条件の明示義務」(第3条第1項)および「期日における報酬支払義務」(第4条第5項)に違反すると判断し、今回の勧告となった。
勧告では、両社に対して以下の是正措置が求められた。まず、取締役会決議による違反事実の確認と再発防止策の明文化、続いて過去の取引内容の再点検と必要に応じた改善措置の実施、さらに役職員への研修など社内体制の整備、そしてそれらの取り組みを全従業員および取引先に周知し、公正取引委員会に報告することを命じた。
同法は、フリーランスの立場にある事業者の取引環境を保護することを目的に23年に成立した新法で、報酬の遅延や条件の不明示、ハラスメントなどに対し規制が強化されている。今回の勧告は、同法に基づく初めての勧告となる。
【寺村朋輝】
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