国民は日本の未来に危機感抱く、
既成政党は世代の波に吞み込まれていく
今回の参議院選挙に立候補した参政党・れいわ新選組から4名をピックアップして分析してみた。4名のうち2名は当選し、参議院議員のポストを確保した。他の2名は落選したが、次回の選挙で当選の可能性は高く、特に野中しんすけ氏の場合は、その可能性が濃厚であろう。
では、なぜ地殻変動が起きているのか。それは「既存政党が日本の危機を認識できていない」ことが原因である。「国民の暮らしの苦しみ、日本の将来への不安」を受け止められないからである。要するに「国民のために」という崇高な使命を忘れ、既存政党の政治家たちが「立憲屋」に成り下がっているからだ。
そして何よりも決定的なのは、国民の意識が根本から変革された点である。特に若い世代の間では「既存の利権政治家には任せられない」という認識が深く浸透し、定着した。学歴はさほど高くなくても、生活体験を通じて「日本改造」意識が高まっている。「自ら声を上げれば未来は変わる」(中田優子参議院議員)と行動に踏み出したのである。これでは既存政党は若い世代に乗り越えられ、淘汰される運命にあることは間違いない。もはや歴史的な賞味期限が切れたのだ。
政治屋連中を駆除した
中田優子参議院議員、35歳
参議院福岡選挙区で恐るべき結果が生じた。とんでもない選挙結果が出たのである。参政党から立候補した中田優子氏が2位で当選したのだ。自民党の松山氏に迫る得票を獲得し、長年指定席だった立憲民主党は議席を失った。“政治ゴロ”に転落した野田候補に鉄槌が下されたのである。「2期で辞めておけば恥をさらすこともなかったのに」と、他人事ながら悔やまれる。
【2025年7月 参議院福岡選挙区の投票総数】
当選 松山政司 自民党 41万9,082票
当選 中田優子 参政党 38万592票
当選 下野六太 公明党 32万391票
落選 川元健一 国民民主党 30万6,409票
落選 野田国義 立憲民主党 30万3,624票
落選 沖園理恵 れいわ新選組 13万8,374票
(他7名が立候補)
ここで与党・野党の票数をまとめてみる。与党を自民党・公明党とすると総数73万9,473票。野党を参政党、国民、立憲、れいわの4党とすると総数112万8,999票で、その差は38万9,526票と大きく開いている。さらに共産党、社民党を加えた野党総数は124万9,802票となり、差は51万329票へと拡大する。
中田議員の人物像
中田氏は35歳。20歳で母となり、毎朝6時に起床して高校生の長男に弁当を作っている。座右の銘は「苦労した分だけ人は優しくなれる」であり、この言葉通りに生活実践を重ねてきた。福岡市出身、屋久島おおぞら高等学校卒。不動産会社勤務中に出産した。過去の国会議員の経歴と比較すれば異色といえる。中田議員のメッセージは「声を上げれば未来は変わる」。厳しい生活の中で培った行動信条といえるであろう。「人任せ・頼り切り」という従来の日本人の思考・行動パターンを払拭している。
参政党の要職者に「なぜ中田優子さんが選ばれたのでしょうか」と質問した。その答えは明快であった。「中田さんは相手の目を食い入るように直視しながら、自分の言葉で信念を語られます。気づけばこちらは知らぬ間に強い同調感を抱かされていました。大層な話ではなく、暮らしぶりから具体的にボトムアップ論を展開される。この説得力こそ世代を代表できると判定したのです」と語る。
付け加えると、(1)世の中の価値観が激変し、学歴偏重では通用しない。高学歴者の上から目線ではアピール力がない。(2)子育てという生活体験から語る世直し論には共鳴感がある。(3)彼女には生まれつきの説得力が備わっていた。実際に街頭演説では群衆が聞き惚れ、「失われた世代代表・中田優子」という象徴が拡大されブームとなったのであろう。
参政党の候補者選定のリサーチ力も冴えわたっていたと言える。
(つづく)