筆者は阪急交通社が主催する「宮古島・石垣島・台湾をめぐる 沖縄美ら海クルーズ5日間」に参加した。そのツアー紀行文をお届けする。
充実のシアター
船上には大きなシアターが2つある。①ロンドンシアター(デッキ5~6前方)、最新の音響・照明設備を備えた本格的な劇場である。毎晩多彩なショーが上演されている。ブロードウェイスタイルのミュージカルやダンス音楽コンサートなどが楽しめ、観客を圧倒する舞台演出が魅力的。二晩目にこのシアターでミュージカルを堪能した。1時間半が一瞬で終わったが、最も驚愕したのは観客が1,000人に達していたことである。シアターは1,000人の定員を有することを意味する。
②カールセルラウンジ(デッキ7後方)には、360度の舞台演出と最新の特殊効果を駆使したエンターテインメント専用の会場がある。こちらは定員800人で、シアターよりも小ぶりだ。しかし円形ステージで繰り広げられるショーは、ダイナミックかつ幻想的な世界を体感できる。どちらか1つ鑑賞すれば一日、退屈しない。
退屈させない食事レストラン
まずはショッピングインフラだ!「洋上を彩る美しい街並み」を通過すれば、必ずブランド買いの衝動に駆られる。「ショップ・ブティック」ではMSCクルーズオリジナルの土産が満載で、酒類は免税になっている。『プラザ・ベリッシマ』(デッキ6)では、香水・コスメ、時計、サングラスなどの高級ブランドが充実しているのが売りである。
買い物に満足しても、食に感動しないと人間というものは不平感を抱く。やはりアピールの第一は地中海料理である。イル・チリエッジ/ル・セリジエ(デッキ6)が筆頭レストランに値する。ライトハウス(デッキ6)、ポシドニア(デッキ5)など個性のある店が揃っている。日本食では鉄板焼き/寿司バーの海渡(デッキ7)がある。もともと、外国人向けの食主体として企画されているから日本食が蔑ろにされるのは致し方ないことだ。冒頭に「5日コースが最適」と指摘した通り、この時間枠であれば日本食が蔑ろにされる点も気にならない。
4,000人の客管理ノウハウには恐れ入る
MSCには顧客4,000人、従業員3,000人が乗船しているそうである。総勢1,000人のお客さんが揃って食事を待つ。この場で料理提供が遅延すれば必ずブーイングが起きるだろう。そうした最低のトラブルは皆無である。同時に料理の後片付けの迅速さには舌を巻く。繰り返しの積み上げによる成果なのであろう。
4,000人の部屋の整理、掃除、シーツ替えを午前8時頃から始め、10時には終える。新装の装いに仕上げる。4泊したが、後始末に不満・不平を抱く事態は皆無であった。それどころか、感謝の念を抱いた。スタッフの大半は中国人、アジア人、アフリカ系である。よくぞここまで、お客さんを管理するシステムを仕上げたものである。
お客さんの入れ替わりに抜け目なし
今回のツアー全体で判断すると、12月24日に那覇港を出港した時点での日本人客は80%ではなかったかと思う。全体のなかで白人は5%と推測する。韓国・中国系が10%であっただろう。26日に基隆に入港した際、台湾人らしき人たちが下船した。夕方、代わりに台湾人・白人系の人々が乗船してきた。ここでようやく理解できた。MSCのツアーには終わりがない。もちろん、乗船客の確保があっての話である。基隆港から乗船してきた台湾人客は、日本ツアーが目的であったのだろう(日本に上陸して飛行機で帰国する可能性はある)。
我々、このたびのツアーメンバー4名は12月29日、那覇港に上陸し、「ああ、思い出多い船旅であった」と感慨に耽った。ところが12月29日に乗船した人々にとっては、ツアーの思い出のスタート日なのである。MSCのツアービジネスは、本当に終わりなき儲けを持続している。








