ジャパネットたかたの景品表示法違反 問われるネット販売のあり方

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 9月12日、消費者庁は通販大手のジャパネットたかたに、景品表示法違反で措置命令を行った。

 対象商品は、「【2025】特大和洋おせち2段重」。自社のウェブサイトにおいて、通常価格2万9,980円が、2024年7月22日から11月23日まで1万円値引きとなる早期予約キャンペーンを展開した。

 しかし、消費者庁と公正取引委員会は、ジャパネットの通常価格は、セール期間経過後に適用される将来の販売価格であり、値引き後価格と称する実際の販売価格が将来の販売価格に比して安いかのように表示していたと認定。

 そして、セール期間経過後に将来の販売価格で販売するための合理的かつ確実に実施される販売計画はなかったものとし、通常価格は将来の販売価格として十分な根拠のあるものとは認められないものであったと断定した。

 こうした調査の結果を踏まえて、景品表示法に違反する行為(同法第5条第2号(有利誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を出し、今後、同様の表示を行わないこと、再発防止策の実施などを求める措置命令を行った。

 これに対して、ジャパネットたかたは同日に見解を発表し、本件表示に関して以下の理由で有利誤認には該当しないと主張した。

 まず、消費者庁のガイドラインでは、過去に販売した価格を比較対照に用いることが認められており、キャンペーン直前まで通常価格2万9,980円で販売しており、表示に適切な根拠があったと主張。

 22年、23年は同キャンペーン終了後に通常価格で販売、24年も同様の販売計画だったが、期間内に完売した時点で販売を終了。顧客に安く購入できる機会を公平に設けており、表示の正当性を失うものではないとしている。

 また、早期予約キャンペーンの企画において、キャンペーン終了後に購入できなかったという事実は企画の趣旨に沿ったもので、顧客に誤解を与えてはいないと認識。

 そして、本来2万9,980円で十分自信をもって進められる商品を、43万個という規模の仕入れにより1万9,980円の価格で提供し、企業努力で値引きを実現したとしている。

 上記の基本方針に沿った当社のビジネスモデルは、通常の店舗やECサイトと大きく異なるものであり、今回の消費者庁の指摘に関しては、本当に顧客のことを考えた判断とは到底思えないと断定した。

 今後、法的な手続きの場で同社の正当性を主張することも含め、適切に対応していくとし、争う姿勢もにじませた。

 消費シーンでは値下げは日常茶飯事で、セール、特売、在庫処分など理由はさまざま。ネット上では、ワイン半額以下、宝石9割引きといった極端な値引きもしばしばみられ、その真偽も問われている。

 消費者にとっても値下げは魅力的だが、その価格に対する正当性を担保することが、商品を提供する側に求められており、厳正な対応が欠かせない。

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