わらび座、あきた芸術村に劇団事業を移管 APAMANグループ支援で経営基盤強化へ

 (一社)わらび座(本社:秋田県仙北市、今村晋介代表)は、劇団事業を(株)あきた芸術村(同市、同代表)に移管する組織再編を行うと発表した。実施時期は2026年4月1日で、APAMANグループからの資本提供を受け入れ、老朽化した施設の修繕や従業員の労働条件改善を進める方針だ。

 わらび座は21年11月、民事再生開始決定を受けてAPAMANグループ傘下のシステムソフト社から支援を受け、経営を立て直してきた。現在は劇団事業を担うわらび座と、「あきた芸術村」を運営するあきた芸術村の2社体制で活動している。わらび劇場を中心とした施設売上は右肩上がりを示してきたが、公演数と全国公演の規模はコロナ禍以前から半減しており、収益改善が課題となっていた。

 今回の再編では、わらび座の劇団事業と従業員をあきた芸術村に移し、法人としてはわらび座のブランドを残しながらも経営基盤を一元化する。資本提供により、老朽化した施設の修繕や燃料費・宿泊費の高騰に対応した再投資が可能となる見通しだ。

 APAMANグループは過去に、14年に経営破綻したアビスパ福岡を支援し、約9億円の売上を10年間で33億円に拡大させた実績をもつ。戦績面でもJ3降格の危機からJ1昇格をはたし、ルヴァンカップ優勝を実現した。わらび座もこの成功事例にならい、全国公演の拡充や東京・福岡などの拠点展開を通じてスポンサー獲得と集客力強化を図る。

 今村代表はプレスリリースにて「秋田を拠点としながら全国にネットワークを広げ、交流人口を増やすことで地域に貢献したい」とのコメントを発表した。創業74年を迎えるわらび座は、今後も「あきた芸術村」を核に全国公演の集客増を目指し、日本文化の発信拠点としての役割を強化していく方針だ。

わらび座、あきた芸術村に劇団事業を移管 APAMANグループ支援で経営基盤強化へ

【寺村朋輝】

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