日本発のアンチエイジング商品は世界を席巻中!

 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
 今回は、10月17日付の記事を紹介する。

 世の中には若返り(アンチエイジング)を謳った健康食品やサプリメントが溢れています。最近の傾向は化粧品の世界でもアンチエイジングが切り札になってきたようです。

 日本発のアンチエイジング商品は国内のみならず、海外でも引っ張りだこの人気を博しています。世界での売れ行きは絶好調で、2023年には27億ドルでしたが、2024年には29億ドルに達しました。この調子で行けば、2032年には54億ドルは固いと予測されています。

 日本では平均寿命が伸び、100歳を超える「百寿者」が10万人を突破。60歳以上の高齢者は人口の3分の1を超える勢いで増えています。若い世代に限らず、歳を重ねても、見た目を含めて、「若さを保ちたい」と願う人々は日本でも世界でも存在感を増しているのです。

 日本の化粧品メーカーは世界で圧倒的な市場占有率を誇っています。その代表格と言えば、資生堂、コーセー、ロート、ファンケルでしょう。毎年のように、スキンケア商品からオーラルケア製品まで多彩な品ぞろえで世界の顧客を魅了しています。

 そんな中、科学的にも医学的にも注目を集めているのがバラの花です。とはいえ、世界には2万種を超えるバラが華麗さを競い合っています。特に、「ダマスクローズ」は古くから「バラの女王」と呼ばれてきた品種。世紀の美女とあがめられたクレオパトラもこのダマスクローズをこよなく愛し、お風呂に浮かべ、ベッドの周りに敷き詰めるなどして、香りを楽しんだと言われています。バラの香りには気分を華やかに高める「ドーパミン」や精神を安定させる「セロトニン」と呼ばれる脳内ホルモンの分泌を促す効果があるせいでしょう。

ダマスクローズ イメージ    最近、帝京大学医学部の研究チームはこのダマスクローズに抗菌作用や抗炎症効果があることを突き止め、生物学及び調剤学の学術専門誌に発表し、世界的に大きな関心を呼んでいます。まさに「バラの持つアンチエイジング効果が立証された」と言っても過言ではありません。

 このダマスクローズの最大の産地として知られるのがブルガリアです。ヨーグルトでも有名なブルガリアの中で、バルカン山脈とスレドナ・ゴラ山脈の間に位置するのが「バラの谷」と呼ばれる地域に他なりません。

 バラには整腸作用もあると言われ、ブルガリアでは子供が腹痛になると、バラのジャムやシロップを食べさせて体調を整えることがよくあるとのこと。要は、バラには「美と健康」をもたらす自然界のパワーが備わっているに違いありません。

 実は、宇宙空間で最初に花を咲かせたのもバラでした。1998年10月、ケネディ宇宙センターから飛び立った「ディスカバリー号」に搭乗し、宇宙空間のバラの香り成分への影響について実験を行ったのは向井千秋博士です。

 打ち上げ時にかかる「4G」と言われる重力にも耐え、宇宙空間で見事にバラの花が2輪も咲いたので、向井博士曰く「コンピュータと科学だけの宇宙空間と思われがちな場所に自然な姿のバラの開花を見て、神に祈りが通じたと思った」。この実験からもバラの生命力の強さが伝わってくるではありませんか。

 バラの花は見て美しく、香りを嗅げば気分が高まったり、気持ちが落ち着いたりするのですが、食べても飲んでも健康を増進させてくれる効果が立証されたわけです。

 日本ではまだバラの効能はそれほど広くは認識されていないようですが、研究が進めば進むほど、その美容と健康増進効果は無視できなくなるはず。クレオパトラの時代からその効果は知られていたわけで、案外、巷にはびこるウイルスから身を守る上でも強い味方になってくれるかもしれません。

 日本の化粧品や医薬品メーカーも商品化にしのぎを削っているようなので、今後の展開が楽しみです。


著者:浜田和幸
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