沈黙から歓喜へ CS突破のホークスと唐人町商店街

 福岡市中央区にある唐人町商店街は、福岡ソフトバンクホークスとの関係が強い場所として広く知られている。最寄り駅に近い、まさに地元であるから当然だが、ドームで試合が開催される日は商店街のなかにある奄美料理の居酒屋にファンが集まり、野球中継を観ながら食事を楽しむ光景が日常となっている。

 10月15日から始まった北海道日本ハムファイターズとのクライマックスシリーズ期間中も例外ではなく、ホークスが連勝で迎えた3戦目以降は、CS突破に向けてその居酒屋はもちろんのこと、商店街全体が浮き足立っていた。しかし、3~5戦目はムードが一変。とくに4戦目、5戦目は土日のデーゲームだったため、多くの人たちが集まっていたが、一方的な敗戦となり、商店街では歓声が聞かれず、沈黙に包まれていた。

くす玉も割られた
くす玉も割られた

    そして、20日の最終戦。月曜日ということもあり商店街はまばらな人通りで、件の居酒屋にも午後7時時点では十数人が陣取るばかりだった。拮抗した試合状況が続くなか徐々に人だかりが増し、途中からはワンプレーごとに歓声が上がるようになった。モイネロ投手が投げ終えた7回表終了時点で人だかりは50人ほどになり、勝利が決まった午後9時45分頃には70人程度が集まり、商店街が配布した第3のビールで祝杯をあげるに至った。

 CS突破が先送りになるなか、ファンの心理は大きく揺れ動いた。唐人町商店街の様子を18、19日の間眺めてきたが、ファン心理の動きは地元商店街の様子によく反映されており、沈黙から歓喜への対比が大変興味深かった。

歓声を上げる人たち
歓声を上げる人たち

【田中直輝】

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